「駿河屋」旗艦店 国内外のホビーファン誘客へ エーツー、静岡マルイ跡地取得【社長一問一答付き】

 ホビー商材販売のエーツー(静岡市駿河区)は28日、2021年3月に閉店した同市葵区の大型商業施設「静岡マルイ」の土地と建物の取得を正式に発表した。同日までに取材に応じた杉山綱重社長(50)=同区出身=は、今夏に旧静岡マルイ跡に移転オープンする自社ブランド「駿河屋」の旗艦店で1日の来店客目標を5千人と設定し、訪日客の回復を見据えて国内外のホビーファンに向けた店づくりを目指す方針を示した。

杉山綱重氏
杉山綱重氏

 新店舗の売り場面積は、現在の駿河屋静岡本店(同区)の約4倍に拡張予定。杉山社長は「『ホビーのまち静岡』のショールームのような役割を持たせたい。静岡ホビーショーなどの大型イベントの時期だけでなく、常に街中でホビーを楽しめる雰囲気を演出したい」と述べた。
 今後、スポーツチームの応援イベントといった地域密着型の集客策も検討するといい、「来店客の回遊性を高めることで、周辺店舗を含む中心街全体の盛り上げにつなげたい」と意気込む。
 ホビー業界の現状を「巣ごもり需要の高まりで、プラモデルやトレーディングカードの市場が国内外で急拡大している」と分析。エーツーグループの22年8月期の連結売上高が約400億円と5年前から倍増した実績を踏まえ、「製造、販売、リユースの各事業を成長させ、3年以内に全都道府県への実店舗出店を目指す」と事業戦略を示した。

交流人口増加につなげたい 杉山綱重社長・一問一答
エーツーの杉山綱重社長の一問一答は次の通り。
 -静岡マルイ跡地取得の経緯は。
 「丸井グループとは2019年に実店舗や電子商取引(EC)の販売拡充を目的に資本業務提携を結び、東京都や福岡県、北海道などで実店舗を増やしてきた。コロナ禍の巣ごもり需要の影響でEC事業も順調で、静岡市駿河区の本社が手狭になってきていた中で、静岡マルイが閉店した。自社の知名度向上と中心街の活性化に向け、取得に手を挙げた」
 -中心街の現状をどう見るか。
 「旧静岡マルイの場所はJR静岡駅から静岡鉄道新静岡駅に向かう動線上の好立地。空き店舗のままというのは静岡の中心街全体にとって痛手。静岡のホビーは誘客力がある。われわれの力で中心街に人を呼び込み、ホビーの交流人口増加につなげたい」
 ―どんな店舗にしたいか。
 「駿河屋の知名度は台湾をはじめ、アジア圏でも高いと認識している。インバウンド(訪日客)が再開していく中で、世界的に人気が高い日本のアニメの関連グッズや、静岡の地場産業であるプラモデルの品ぞろえを強化していく。自作の模型を動かしてファン同士が交流できるスペースも設けたい」

 すぎやま・つなしげ ゲームショップ運営会社を経て、1998年にホビー商材販売のジーエックス創業。2003年に事業統合でエーツーに社名変更。50歳。

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