不登校対策/1票へのヒント 漫画で見る現場③【統一地方選しずおか】

 全国の不登校の児童・生徒数は2021年度、小学生8万1498人(1・3%)、中学生16万3442人(5%)に上り、過去最多となった。高校生は近年、1・5%程度の5万人前後で推移している。国は、相談体制を充実させるためにスクールカウンセラーの配置を進めたり、学びの場の選択肢を増やそうとしたりしている。少子化の今、なぜ不登校は増えているのか。どのような対策をすべきか。静岡市葵区在住の漫画家駒井千紘さんと関係者を取材した。 photo02
 悩みを抱えた時、それが小さなものだったとしても立ち止まって考えたり、誰かに相談できたりしたら、不登校に至らないかもしれない。子どもたちにそのような心のゆとりが、教員には一人一人に寄り添う余裕があるのだろうか。 photo02
作者から 「駄目な子」扱いしないで
 教師1人で大勢の子どもを教える一斉授業の下では、不登校の児童・生徒が出てしまうのは必然だと思う。学習についていけない子もいれば、簡単すぎて退屈な子もいる。一つの教室に詰め込まれて全員が全員快適で楽しいはずがない。
 学校の運営上、子どもは同学年の子と足並みをそろえなければならず、平均値から外れる子にとっては生きづらい環境になってしまいがちだ。昔は「学校へ行きたくない」と訴えても半ば強引に親や教員に登校させられるケースが、今よりも多かったように思う。
 しかし今は違うはずだ。個人の特性が尊重される時代だし、無理に登校させたところで根本的な本人の特性が変わるわけではなく、いい結果にならないだろう。その子自身が今の環境で学び続けるのは無理だと判断した時、「駄目な子」扱いをしないでほしい。教育行政に対しては、その子に合った学習環境の選択肢があり、学ぶことを諦めずに済む仕組みづくりを求めたい。
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 作者略歴
 駒井千紘(こまい・ちひろ) 静岡市出身。静岡高から早稲田大へ進学。玩具メーカーでの勤務を経て、イラストレーター・漫画家に。現在2児の母。

記者の一言 教員の業務負担 見直し必要
 授業と部活動に加え、塾に習い事と、子どもたちは忙しい。SNSが普及し、いや応なしに周囲の“良い部分”が目に入り、自身と比較する機会は多い。Aさんは勉強が好きで大学進学に向けて努力する中、学校に行けなくなってしまった。「まさか自分がこうなるとは」。いじめや元々の心身の不調といった直接的な原因がなくても、誰もが不登校になり得ることを示していた。不登校になった時の支えや選択肢はもちろん重要だ。だが、詰め込み教育や教員の業務負担を見直し、そもそも不登校を生まない学校の在り方を考える必要がある。
 (教育文化部・鈴木明芽)

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