袴田さん再審開始 20日抗告期限、刑事法研究者ら断念求める

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定は20日、抗告期限を迎える。検察の最終判断を翌日に控えた19日、袴田さんの姉ひで子さん(90)は浜松市で開かれた集会で「一区切りつけてもらいたい」と改めて訴えた。刑事法の研究者が「抗告を行うことは上訴権の乱用」として断念を求める新たな動きもみられた。

法律家が再審制度の問題点などについて語った大会=19日午後、浜松市中区
法律家が再審制度の問題点などについて語った大会=19日午後、浜松市中区

 刑事法の研究者たちは18日付で声明を公表した。100人以上が名を連ね「速やかに再審公判に移行すべき」と主張する。九州大の豊崎七絵教授ら14人が呼びかけ人となり、静岡大の正木祐史教授らが賛同した。
 声明では、高裁決定は新証拠と旧証拠を総合評価した結果、確定判決の事実認定に合理的な疑いが生じたことを「丁寧に示し、その判断には説得力がある」と説明。最高裁の再審基準を示した「白鳥・財田川決定」を踏まえているとし、憲法違反はもちろん、判例違反もないと指摘した。
 検察側の主張・立証も十分考慮した上での判断であり「論理則・経験則に照らして不合理と言える点はない」と言明。袴田さん、ひで子さんが高齢であることも考慮し、特別抗告によって請求審をさらに長期化させることは「人道の面でも問題が多い」と懸念した。
 ■浜松でも大会 特別抗告をけん制
 浜松市内では「袴田さん支援クラブ」など3団体が応援大会を開き、姉ひで子さんをはじめ支援者ら約160人が出席した。元検察官や弁護士、法学者らがパネル討論を行い、審理の長期化など再審制度の問題点について語った。
 元検察官の市川寛弁護士は検察側が特別抗告を検討していることについて、結論を先送りする検察の体質が背景にあると指摘。無罪判決が出ると、その時の担当検察官が非難される傾向があるとし、「袴田事件は検察の中でとても大きな事件になっている。爆弾リレーのように(結論を)先送りしている」と述べた。
 弁護団の角替清美弁護士は「袴田さんの無罪は何があっても変わらない」と強調し、「袴田さんを死刑にしようとする特別抗告はとんでもないものだ」と検察側を非難した。

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