吉田町 交通拠点IC周辺整備 利便性向上で人流創出へ【ウィズコロナを見据えて 志太榛原23年度予算案④】

 吉田町の北部に位置する東名高速道吉田インターチェンジ(IC)は、1969年の供用開始以来、鉄道駅がない同町の玄関口としての役割を担っている。多くの車が行き交う道路の脇ではバスを待つ住民の姿が目立つ。静岡市行きの高速バスを待っていた高校2年の長谷川聖人さん(16)は「町外に出る時はここが起点。静岡の街に行くには一番便利だから」と話す。

1969年の供用開始以来、吉田町の玄関口としての役割を担っている東名高速道吉田IC=同町神戸
1969年の供用開始以来、吉田町の玄関口としての役割を担っている東名高速道吉田IC=同町神戸

 同町は新年度、防災とにぎわい創出を両輪で進める「シーガーデンシティ構想」の一環で、交通の結節点としてのICの交通拠点機能強化を進める。同町はこれまで、防潮堤整備など防災分野に多くの予算を配分してきた。構想実現に向けた次の一手では、公共交通の利便性向上を柱とした施策を進め、暮らしやすい都市形成や交流人口の呼び込みを狙う。
 同町が昨年9月に実施した住民意識調査(速報値)では、「住みにくい」と回答した町民の7割が鉄道網がない点などに起因する公共交通機関の不便を挙げた。課題解決のために当初予算案ではIC周辺の公共交通整備に向けた基本設計に1100万円を盛り込んだ。
 ICに集まる人が利用しやすいよう、バスの乗降レーンを拡張して待合所を設置。タクシーや一般車の乗降レーンも新たに整備する未来図を描く。高齢者などの需要が見込まれる予約型乗合タクシーの実証実験も10月をめどに開始し、ICや町役場などを巡る交通網構築を模索する。
 町が新年度、沿岸部でのにぎわい創出に向けた施設整備を本格化させる中、同ICは観光客などを迎え入れ、人流を作り出す拠点として期待される。ハード面の充実と並び、公共交通をスムーズに利活用するための工夫も不可欠となる。石間智三郎企画課長は「鉄道がない町にとって同ICは重要な社会基盤。民間とも連携しながら整備を進めていく」と話した。

 <メモ>吉田町は新年度、沿岸部の交流拠点整備にも着手する。イベント会場としての活用を見込む吉田漁港多目的広場の整備に1億2000万円、県営吉田公園南側エリアでのスポーツ、レジャーゾーン形成に向けた基本設計費などに1800万円を計上した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞