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元校長の再審認めず 最高裁、特別抗告棄却 旧天竜林高事件

 旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件を巡り、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)の再審請求で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は元校長の特別抗告を棄却したことが8日までに、関係者への取材で分かった。再審開始を認めない判断が確定した。
 決定は6日付。元校長と弁護団が8日、郵送された書面を確認した。特別抗告審で弁護側は、検察から新たに開示された元天竜市長(90)=贈賄罪で罰金刑確定、再審請求中=への警察の取り調べを記したメモを受け、自白の信用性を追求。現金の授受があったとされる日の元市長の行動履歴を裏付ける証拠の開示も求めていた。
 これに対し最高裁は、訴えは事実誤認の主張にとどまり、憲法違反、判例違反には当たらないと判断。即時抗告審に東京高検検事長として関与した堺徹裁判官を除く4人全員一致の意見とした。
 確定判決によると、元校長は大学推薦入試を巡り、2006年9月と11月、生徒2人の調査書の改ざんを教員に指示。虚偽の調査書を各大学に提出し、生徒1人の親族である元市長から謝礼20万円を受け取った。
 元校長は捜査段階から一貫して無罪を主張し、最高裁まで争った。最高裁は10年に懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金20万円とする一審判決を支持し、有罪が確定した。元校長は判決を不服として14年に静岡地裁浜松支部に再審請求したが、16年に棄却。東京高裁への即時抗告が21年3月に棄却され、最高裁に特別抗告していた。

 ■「誤審貫く判事に憂い」 元校長
 最高裁の棄却決定を受け、関係者からは再審を認めない司法への憤りと批判の声が上がった。元校長は取材に「真実をめでることも、正義を尊ぶこともなく、ただ三審制の秩序を維持したかったのか。誤審を貫く最高裁判事という職業人の生き方に憂いを感じる」とコメントした。
 支援者で、支える会の榊原夏雄代表は「真実を解き明かそうという意思のない悪意ある決定。開かれた裁判所はどこにあるのか」と決定を批判した。
 弁護団の海渡雄一弁護団長は「追加の証拠開示を求めるこちらの主張に一切判断を示していない。中身のない決定で非常に遺憾だ」と述べ、「今後の対応については協議して検討する」とした。

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