三者連携 中小支援で成果 県信用保証協会と日本公庫、商工中金

 静岡県信用保証協会、日本政策金融公庫、商工中金が三者連携を始めて1年余りが経過し、県内中小企業の事業高度化支援で成果を挙げ始めている。専門家派遣を通じ、企業個々の強みを引き出しながら的確に資金を供給し、原材料価格高騰や事業承継など課題を複合的に抱える地域企業を下支えする。

栗田重太社長(左)と経営課題を話し合う県信用保証協会の担当者=静岡市駿河区の栗田合金鋳造所
栗田重太社長(左)と経営課題を話し合う県信用保証協会の担当者=静岡市駿河区の栗田合金鋳造所


 三者は2021年11月、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた中小企業の支援を目的に覚書を締結した。各機関の職員が同じ企業を訪問するなどして、単独で得られなかった情報や支援ノウハウの共有を進める。必要とする企業には保証協会が経営コンサルタントを派遣し、経営課題の洗い出しや事業評価を行う点も特徴だ。
 「会社の未来を考える機会になった」。連携支援を受けた金属鋳物製造業、栗田合金鋳造所(静岡市駿河区)の栗田重太社長は経営への効果を語る。多品種少量生産を得意とする同社は専門家との協議で、製品1点ごとの利益率を算出し直すなど原価管理や生産管理を強化。22年秋には4千万円の協調融資を受けた。事業承継を視野に入れる栗田社長は「良いタイミングだった。経験と勘だけでなく、数字で経営を考える大切さを改めて理解できた」と話す。
 覚書締結以降、2月末までの借り換えを含めた融資実行件数は同社を含め13社。各金融機関は「情報交換がしやすくなった」(商工中金)、「県内企業との接点の拡大につながっている」(日本公庫)と手応えを語る。実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化も迫る中、保証協会の担当者は「互いにできることを続け、1社でも多く支援したい」と意気込む。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ