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社説(3月2日)沼津舞台のアニメ 活性化策の“続編”示せ

 沼津市を舞台にした学園アニメ「ラブライブ!サンシャイン‼」の人気は根強い。関連グッズなどを置く市内の観光案内所の利用者は漸増し、土日になると「ラブライバー」と称するファンがJR沼津駅を下車。駅周辺や中心街の商店街、内浦地区の海岸などアニメの登場舞台を“聖地巡礼”する人が後を絶たない。
 この状況に呼応し、JR東海は3月下旬から初のコラボ企画を開始して活況を取り込む構えだ。駅構内を装飾し、構内放送では劇中のメンバーによる声でアナウンスを届ける。鉄道利用増と各地の人流拡充を目指し、エリアを伊豆地域に広げた周遊企画も始める。
 県東部・伊豆で展開するバスやタクシー、私鉄、商業施設などもコラボ企画を手がけているが、活性化を加速させる上で地元沼津市は民間の事業を後押しすべきだ。作品を生かした官民による活性化策をまとめ、従来の取り組みを進化させた“続編”として実践してみてはどうか。3月1日開館の県内有数の規模となる新総合体育館を舞台にしたイベントを開いて新たな聖地化を目指したり、市制100周年として関連イベントへの補助費を予算化したりすることを求めたい。
 7月には既存の作品から派生した新作がアニメ化される。ラブライバーには外国人も多く、訪日客が戻り始めている県東部・伊豆全体のPRにつなげることが欠かせない。地元自治体や関係機関、民間事業者が連携し、取り組みの前進を期待したい。
 作品は沼津市内の高校に通う女子高生がメンバーのスクールアイドルユニット「Aqours(アクア)」の物語。キャラクターや内容に対し男女を問わず多くのファンを擁するほか、作品を通じて沼津を気に入り移住した男性や、足を延ばして伊豆半島の観光地へ旅行を重ねる人もいる。
 当初、時間の経過とともに、沼津の人気は一過性で終わってしまうとの懸念があった。しかし、地元商店やホテル・旅館が定期的にイベントを開き、ラブライバーと店主らが何度も顔を合わせることで関係構築につながったのが大きい。関連グッズや書籍を置いている沼津市内浦地区の観光案内所「三の浦総合案内所」の利用者は2018年に累計約7万9千人に達し、アニメのテレビ放送前の15年と比べ10倍となった。新型コロナの感染拡大で落ち込んだが、今はコロナ禍前と同水準まで回復しているという。
 アニメだけでなく、テレビドラマや映画の舞台としてさらなる誘致も必要だ。県東部・伊豆全体を発信するきっかけづくりに努めてもらいたい。

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