「開発規制目的でない」 砂防指定問題巡り静岡県部長 熱海土石流

 熱海土石流の発生源になった逢初(あいぞめ)川上流域に関し、砂防法の規制区域「砂防指定地」の指定を国から求められたのに静岡県が指定しなかった問題で、県交通基盤部の太田博文部長は24日の県議会2月定例会で、「砂防指定地は国土保全の観点から指定するもので、開発行為を規制する目的で指定しないと認識している」との考えを示した。自民改革会議の藤曲敬宏氏(熱海市)の一般質問に対する答弁。
 主張の根拠を示さないまま、国からの通達や複数の専門家の見解と大きく異なる県独自の解釈を維持した。
 国は過去の土石流災害を教訓に1989年に指定基準を定め、「開発が行われ、または予想される区域で、その土地の形質を変更した場合、渓流等への土砂流出等により、治水上砂防に著しい影響を及ぼす恐れのある区域」と明示している。
 砂防指定地の見直しについては太田部長が「盛り土の有無にかかわらず、上流域の荒廃状況、崩壊地の状況をチェックする」と述べる一方、森林法での対応も併せて検討するとした。専門家は「砂防ダムを機能させるために(砂防法以外の)他の法令を使うというロジックは普通はない」と指摘している。

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