リニア県境ボーリング21日開始 JR東海が伝達、静岡県「極めて遺憾」

 リニア中央新幹線トンネル工事を巡りJR東海は20日、山梨県から静岡県境に向けた高速長尺先進ボーリングの削孔(さっこう)を21日に開始すると県に伝えた。県は削孔前に、県内の地下水が流出する恐れが低い区間を科学的根拠に基づいて示すよう求めていたが、JRは新たな資料は示さなかった。川勝平太知事は20日、「本県の要請に対する調整が整わないまま開始することは極めて遺憾」とのコメントを発表した。
 県は、JRがこれまでに示した地質調査資料に基づき、県境から山梨側250メートル付近に断層と地質のもろい区間があり、県境付近の静岡側に確認されている破砕帯とつながっているように読み取れるとして、同区間を削孔することで県内の地下水が山梨県側に流出する懸念をJRに伝えていた。
 JRは山梨県内で同様の地質状況の区間をボーリングで削孔した際に湧水が少なかったことから、県の懸念は当たらないと回答した。県境から約800メートル離れた位置からボーリングを開始し、県境約100メートル地点に近づいたら慎重に進めると従来の方針を伝えた。
 川勝知事はコメントで「一方的に回答を送付された。地域が理解し、納得できる対応を強く求める」との考えを示した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞