記者コラム「清流」 手話は言語

 「ろう者は手話が第1言語」。生まれつき耳が聞こえないろう者と聞こえる聴者の理解促進を目的に活動する浜松市の女性から、この言葉を聞いてハッとした。「目で見る言語」なのだ。県の手話言語条例にも「手話が独自の体系を持つ言語との認識に基づき、共生社会実現を図る」とある。
 一方で、言語と捉える感覚が聴者の間で浸透しているとは言えない。ろう者や中途失聴者に直接会う機会は限られ、手話を使う場面を見るのも断片的だからではないか。
 冒頭の女性が「聞こえない人の世界を知る」交流サロンを浜松市内で始めた。「英語のように一つの言語、文化だと思って」。それを聞いて、心のハードルが低くなった。共生にはまず接点を持つという第一歩が必要だ。(浜松総局・山本雅子)

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