南海トラフ防災基本計画 国、2024年春見直しへ
谷公一防災担当相は3日の閣議後会見で、国の「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」を来春に見直す方針を明らかにした。前提となる現行の地震モデルの検証や新たな被害想定の策定に向け、内閣府は同日、有識者による手法検討会の初会合を開催。本格的な作業に着手した。
国は2012~13年に、南海トラフ地震による死者が関東以西の30都府県で最大32万3千人(本県は最多の10万9千人)に上るとの被害想定を公表した。これを基に14年3月に決定した基本計画では、10年間で死者数を8割減らすなどとした減災目標を掲げている。
一方で、基本計画決定から10年が経過することを踏まえ、谷氏は「その後のさまざまな技術の発達、国民意識の変化もある。そろそろ見直す必要がある」との認識を示した。
今春には中央防災会議の下に、各地での防災対策の進捗(しんちょく)状況を確認したり、新たな対策を考えたりするワーキンググループ(WG)も設置する。手法検討会とWGを並行させる形で、基本計画見直しにつなげる。新たな被害想定も作業の過程で示す見通しだ。
手法検討会は地震学や地震工学、防災学の有識者ら12人で構成する。最新の知見を踏まえて津波高や震度分布の推計、被害想定の計算に関する技術的な議論を進める。春以降に報告書をまとめる。
初会合はオンラインで行い、冒頭のみ公開した。座長に就任した平田直東京大名誉教授は「南海トラフ地震はいつ起きても地震学的には不思議ではない。私たちの社会の実力としてどんな被害が起きるかを検討し、適切な処置をすることが極めて重要」と述べた。内閣府は今後、議事概要をホームページに掲載するとしている。