2019年の東名火災 4人書類送検 換気せず延焼か
静岡市駿河区中吉田の東名高速道高架下で2019年、塗装を剝がす工事中に1人が死亡、10人が負傷した火災で、県警が昨年12月、塗装工事に従事した当時の現場責任者の男ら4人を業務上過失致死傷容疑で静岡地検に書類送致したことが3日、捜査関係者への取材で分かった。
関係者によると、4人は19年11月21日、高架下の工事で火災を防ぐために必要な対応などを怠り、作業員11人を死傷させた疑い。剝離剤で既設の塗膜を除去する作業中だった。遺族らとの示談は済んでいるという。
火災後、工事を発注した中日本高速道路は再発防止委員会を設置した。中間取りまとめ案などで、水性の塗膜剝離剤で剝がされて堆積した塗膜くずが、密閉性のある作業空間に一定期間置かれ、成分のアルコール系物質が気化して引火、延焼の原因になった可能性を指摘した。出火当時、塗膜くずは上り側に約400キロ、下り側に約1150キロ堆積していた。同社は、塗膜くずから可燃性ガスが発生することは想定していなかったとしている。
工事現場では塗膜くずの飛散を防ぐため、つり天井形式の足場に養生シートなどを3層にわたって敷設。換気設備はあったが、当日は自然風があり稼働させていなかったという。空気より重いアルコールなどが可燃性ガスとして足場の底部に滞留して引火、燃え広がった可能性が高い。