大自在(2月3日)節分と大豆

 「鬼は外! 福は内!」。きょうは節分。何をまくか、ウェザーニューズ社が数年前に調査したところ、北日本と産地の鹿児島・宮崎は落花生、その他の地域は大豆と、はっきり色分けされた。
 豆を打って邪気を追い払う「追儺[ついな]」が節分行事の中心になったのは室町時代で、大豆をまいた。落花生を使うようになった経緯は分からないが、大きいほうが雪の中、見つけて拾いやすいからという説はうなずける。衛生面から、さらに広がるかもしれない。
 豆まきと呼ぶのは、動作が種まきなど農作業を表したからという。季節が変わる節目、そして農耕の新年を迎えるに当たり、健康と豊作を祈る心は、新型コロナ禍やウクライナ危機で幸福とは何かを考えた経験に通じよう。偏見や無関心など、内なる鬼にも気付かされた。
 大豆は3千年ほど前に中国から朝鮮半島経由で伝来したとされる。約1500年前に加工技術や加工品が伝えられ、800年くらい前には栽培が全国に広がった。豆腐、納豆、みそ、しょうゆ、煮豆…。日本の食卓に欠かせない。
 現在、ブラジル、米国、アルゼンチンで世界の約8割を生産。世界の総輸入量の6割を中国が占める。国際相場は昨年、南米の干ばつ懸念や中国の輸入増、ウクライナ危機で高騰した。
 今年は「和食文化」のユネスコ無形文化遺産登録から10年。大豆の国内生産量は増加傾向とはいえ、年間100万トンの食品用需要の24%しか確保できない。植物油原料用の「油糧」需要を含めると自給率は7%にとどまる(2021年)。知っておくべきだろう。

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