充実のスタッフ、分業で機能 対話重ねレベル向上図る【聖地への軌跡 常葉大菊川センバツ(下)】

 長い大会期間の中で、見違えるような成長を遂げる選手もいた昨秋の常葉大菊川。背景には投手と野手の分業で、石岡諒哉監督(33)を支える充実したスタッフの存在がある。“チーム石岡”としての一体感が、結果に結び付いている。

投手陣の投球練習を見守る常葉大菊川の黒沢部長=同校グラウンド
投手陣の投球練習を見守る常葉大菊川の黒沢部長=同校グラウンド

 投手コーチを務めるのは黒沢学部長(45)。母校の常葉橘(現常葉大橘)監督時代は計3度甲子園へ導き、後にプロ入りした庄司隼人氏(元広島)や高橋遥人(阪神)らを育てた。内野手出身ながら研究を重ね、培った理論を指導基盤にする。
 昨秋、ブレークした1年の左腕久保綾哉は当初は制球難だった。黒沢部長と取り組んだフォーム改造で劇的に成長。「間」を意識した体重移動を練習して体全体を使えるようになり、制球が安定した。日本ハム入りした安西叶翔も黒沢部長の助言で進化した一人。腕の位置を下げ、球速が一気にアップした。
 一人一人の特徴に合わせ的確なアドバイスを送るが、押しつけはしない。「自分の考えを持ち、本人の感覚を大切にしてほしい」。対話を重ね、ともに作り上げる方針に選手の信頼は厚い。
 主に野手の指導に当たる佐野大輔副部長(46)は、元プロ野球選手の勝稔さんを父に持つ。父が監督を務めた浜松リトルシニアから名門・横浜(神奈川)に進み、二塁手として春夏の甲子園に出場。駒大でも活躍した。シニアの後輩である石岡監督から「手伝ってほしい」と誘いを受け、指導を引き受けた。
 昨秋はベンチで指揮官を支えた。東海大会決勝で東邦(愛知)に敗れた直後は「まだまだ。試合にならなかった」と、肥えた目にはチームの課題がはっきりと映った。
 杉本陽介副部長(44)は磯部修三氏、森下知幸氏(現御殿場西監督)が監督時代にも副部長などを務め、現指導陣の中では最も長く野球部に携わっている。道具の修繕やグラウンド整備など裏方の仕事も率先してこなし、教え子でもある指揮官をバックアップする。
 石岡監督はスタッフについて「経験もあるし、疑問に思うことはよく聞いている。非常に助かっている」と強調する。心強いサポートを受け、本番に向けたチーム強化に意欲を示す。

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