持ち前の行動力発揮 裾野市長、就任1年 事案対応巡り批判も
裾野市の村田悠市長が29日、就任1年を迎えた。現職の市町長で県内最年少となる34歳で初当選し、持ち前の行動力でまちづくりを進める一方、全国的に大きな注目を集めたスプリンクラー浸水被害と園児虐待事件に直面。対応を巡り、一部から批判的な意見も寄せられた。激動の1年を経て、真価が問われる2年目に挑む。

「経済波及効果は200億円を超えると試算している」。村田市長は30日、市内への飲料水工場開設を決めた生活用品大手アイリスオーヤマ(仙台市)が裾野市で開いた記者会見に出席。企業立地方針を策定し、トップセールスで実現した誘致第1号に胸を張った。
就任以降、前市長が廃止したイベントへの助成金を相次いで復活させ、にぎわい創出を図った。長期休館に追い込まれていた温泉施設を再開し、元総務省官僚の及川涼介氏を副市長に招いて行政のデジタル化を加速させた。
公約を着実に形にする中、昨年9月下旬に市民文化センターでスプリンクラーの浸水被害が発生。11月末には、市内の私立保育園で保育士による園児虐待事件が発覚した。
浸水被害は原因不明な状況で、公演直前だった管弦楽団との補償に向けた交渉が難航。虐待事件では担当部署から市長への報告が大幅に遅れた上、元園長に対する刑事告発を今年に入って撤回した。
賛否両論が渦巻く中、この1年で「10キロやせた」と自虐的に語り、「なかなか正解は分からないが、批判を受け止めながらこれからも一生懸命に対応する。自分への評価は次の改選期に受けるもの」と言葉をつないだ。
2023年度は村田市長が初めて本格的な通年予算を編成する。長年の課題である公園整備を具現化し、保育の拡充など子育て支援策を強化する方針だ。「財政を安定させ、より良い市民サービスを提供する好循環をつくっていく」と決意を新たにした。