カツオ盗背景に市場部の閉鎖性 焼津漁協第三者委、改善策を提案

 焼津漁港(焼津市)を舞台にした冷凍カツオ窃盗事件を受け、焼津漁業協同組合は24日、第三者委員会が取りまとめた報告書の要約版を公表した。事件の背景について、魚市場を運営する市場部の閉鎖性といった組織の構造的な欠陥を指摘。取引に市場部外の職員を介在させるといった体質改善策を提案した。
 報告書は焼津漁協が昨年末に同委員会から受け取り、今月23日に県に提出した。公表された要約版では、同委員会の調査結果を基に、事件の背景や職員が把握できなかった原因、信頼回復に向けた課題や提言が記されている。
 市場部について「ガバナンス、内部統制が構築できていない」と閉鎖的な組織のあり方に疑問を示した。職場環境についても触れ、配属された新人職員が不正行為に「業務の一環として暗黙の内に従わざるを得ない」と問題視した。
 また、未計量カツオの搬出について、損失補塡(ほてん)や相場維持を理由に「市場部内で格別の疑義が生まれていなかった」と指摘。こうした市場部の隔絶性を不正が把握できなかった原因の一つとして挙げた。
 市場部の閉鎖性を是正するために、取引終了後の会議に市場部外の職員を同席させることや、疑問が生じた取引内容に関する個別調査の導入といった対策を提案した。
 第三者委員会は昨年9月に設置。漁協職員(当時)が逮捕された2021年10月から22年12月までの期間を対象に、漁協職員や関係者へのアンケートや聞き取り、意見交換などの調査を実施した。

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