大自在(1月25日)AIの活躍の場

 人工知能(AI)は産業や社会の自動化・能動化に大きな成果を上げている。その恩恵に浴する社会起業家は増える一方で、産業や社会のシステムそのものの改善には至っていない。
 実際、いくらAIが発達しても、政治不信は解消せず経済成長も鈍いまま。少子高齢化に打つ手もなく国民生活は厳しさを増すばかりだ。AIはこの国の閉塞[へいそく]感を破るゲームチェンジャーにはなれないのだろうか。
 一方で近年、飛躍的に進歩しているのも事実。2020年、海外の技術者が最新AIを紹介したブログ記事の最後に「告白する。この記事は全てGPT-3(AI)が書いた」と種明かしした。人間が書いたと思い込んでいた読者は驚き、一躍その実力が知れ渡った。
 性能の高さは悪用の危険もはらむ。昨年の台風15号では静岡県内の被災地を装う偽画像がAIで作られ、ネットに拡散した。ロシアのウクライナ侵攻でも巧妙な偽の画像や動画が飛び交っている。
 ただ、画像や文章の生成に限らず、商品の需要予測や自動運転、音声合成、翻訳、作曲などAIの活躍の場は枚挙にいとまがない。今後進化を続け、ますます身近になるだろう。
 実は今回、本欄の第1段落はAIが書いた。AI開発のrinna社の日本語モデルに過去5年分の本欄を学習させ、それらしく生成した300通りの候補から一つを採用した。「人工知能(AI)は」と書き出しを指示しただけで、それ以外はAIが紡いだ文章そのまま。AIは謙遜しているが、きっと日本の明るい未来を切り開いてくれると期待している。

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