静岡人インタビュー「この人」 賀茂地域で住民の健康長寿研究に取り組む 田原康玄さん(静岡市駿河区)
賀茂地域1市5町の住民を対象に健康調査を行い、健康状態の変化などを追跡する「静岡多目的コホート事業」を進める。効果的な予防方法の開発や疾病の早期発見、健康づくりの意識を高めることを目指す。静岡社会健康医学大学院大(静岡市)研究科長。川崎市出身。53歳。

―コホートとは。
「集団を長期間追跡し、疾患の発症や関連する特徴を明らかにする研究手法で電気や水道と同じ社会インフラ。疾病予防は分かっていないことが多く、社会環境の変化で認知症やフレイル(虚弱)などの課題も出てきた。リスク因子を明らかにし県民の健康づくりに貢献したい」
―研究成果は。
「自分が取り組むもう一つのコホート(滋賀県長浜市)と比べたところ、賀茂地域の住民は血圧がかなり高く、脳卒中を発症する危険性を押し上げていることが分かった。高血圧の危険因子である食塩、飲酒、肥満を解消する取り組みが必要。常葉大の協力を得て、健康調査結果に基づく『かもけん!体操』のDVDも作成した。健康づくりの継続へ活用を促したい」
―今後の展開は。
「本年度も賀茂地域で調査を始め、千人超の参加を見込んでいる。今後は県内の別の地域で同様の取り組みを展開したい。将来的に対象者を2万人規模まで拡大できれば」
―静岡県の健康課題をどう解消するか。
「脳卒中の発症率の高さを何とかしたい。高血圧の原因や効果的な対策を明らかにするため、特定健診のデータ分析や県民に野菜摂取を促す『野菜マシマシプロジェクト』も進めている。市町と連携し、楽しみながら健康づくりを実践できる仕掛けをつくりたい」