さらば最下位! 東大野球部、意識改革で磨け 静高OB奮闘 鍵は「心」と「チーム力」

 東京六大学野球リーグで1998年春から50季連続で最下位の東大。勝利に必要なメンタリティーを注入すべく静岡県出身者が奮闘している。硬式野球部の新主将に就任した梅林浩大(3年)と、昨秋まで学生コーチを務めた奥田隆成さん(4年)はともに静岡高出身。最下位脱出の鍵として「心」と「チーム力」の強化を挙げた。

東大の主将に就任した梅林。最下位脱出に向かってチームをけん引する=清水庵原球場
東大の主将に就任した梅林。最下位脱出に向かってチームをけん引する=清水庵原球場
昨秋のリーグ戦まで学生コーチを務めた東大の奥田さん(中央)=神宮球場(東大硬式野球部提供)
昨秋のリーグ戦まで学生コーチを務めた東大の奥田さん(中央)=神宮球場(東大硬式野球部提供)
東大の主将に就任した梅林。最下位脱出に向かってチームをけん引する=清水庵原球場
昨秋のリーグ戦まで学生コーチを務めた東大の奥田さん(中央)=神宮球場(東大硬式野球部提供)

 リーグに所属する東大以外の5校は甲子園常連校出身の有力選手ばかり。戦力差は歴然の東大は2017年秋以来勝ち点がない。だが、昨秋は優勝した明大と1回戦で引き分け。2、3回戦は打撃戦に持ち込み計13得点。慶大からは1勝を挙げた。奥田さんは取り組んできた強化に手応えを感じていた。
 腰椎分離症を再発し、昨年から学生コーチに転身した奥田さんが最初に着手したのは打撃強化。一人一人と向き合い、課題と練習法を助言する過程で個々の能力、意欲とも決して低くないことを改めて実感した。強化すべき要素として思い当たったのが「メンタル値」と「チーム力」だった。
 東大には2人のような甲子園出場高出身者が少ない。奥田さんは「練習ならエラーしてもいいという雰囲気」に違和感を覚え、「試合終盤の重圧のかかる場面でいいプレーができない要因」と捉えた。「プレッシャーノック」と称し、エラーが出たら全員でグラウンドを1周する練習を試行してみると、試合での失策が減ったという。
 梅林も「日頃、どういう意識で練習するかが大事」と同意する。「心技体のうち『技』と『体』は他と遜色ない。心が備わっていないと生かし切れない」
 東大生が得意としてきた受験はいわば個人戦。野球でも自分の苦手や課題を分析し、克服するための練習法を見つける能力は非常に高いと梅林は言う。「効率のいい近道を知っていて、ものすごい努力もする。ただ自分の力で何とかしようと考え、チームとしての強さや勝つための練習法を知らない人が多い」
 最下位脱出へと導くために梅林は「個人が活躍を目指すのはいいが、その先にある勝つという目標を見失ってほしくない。チームが同じ方向を向くよう、部員に納得、信頼してもらえるやり方で自分の経験を伝えていきたい」と意気込む。

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