テーマ : 伊豆市

大自在(1月22日)翔傑、46歳の生きざま

 19年前の大相撲初場所13日目。天城湯ケ島町(現伊豆市)出身の駒乃富士は、幕下優勝を懸けた一番に臨んだ。萩原と6連勝同士でぶつかった。
 しかし、入門10年目の27歳は、17歳に寄り切られた。優勝した萩原は、同じ年の九州場所で新入幕を果たす。後の横綱稀勢の里である。一方、千載一遇の好機を逃した駒乃富士は、しこ名を翔傑に改めたが、関取(幕内、十両)に届いていない。
 それでも、土俵に上がり続ける。46歳の今も。現役最年長力士は、1995年3月の初土俵以来の連続1154回出場、166場所が誇りだ。関取は1場所で15番相撲を取るが、幕下以下は7番。現役トップは玉鷲の1492回出場(21日現在)も、場所数では113。翔傑が大きく上回る。
 年齢にはあらがえない。持ち味の押し相撲が出せなくなってきた。だが、気力は衰えない。「稽古場物語」(佐々木一郎著、ベースボール・マガジン社)に師匠の芝田山親方(元横綱大乃国)の言葉がある。「自分から稽古もするし、下の者も見てくれる。部屋にとって大きな存在」。稽古が終われば、真っ先にほうきを持って土俵を掃くという。
 今年の初場所は、幕下15枚目格付け出しの19歳、落合が全勝優勝。所要1場所での新十両昇進に前進した。26年ぶりに序二段に番付を下げた翔傑は、13日目に19歳の颯雅[そうが]を寄り切って4勝3敗と勝ち越した。
 今場所対戦した7人は、平均21歳。若手に押されても、まだまだ諦めない。スピードや変革が求められる時代に見せる愚直な男の生きざま。胸が熱くなる。

いい茶0

伊豆市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞