コロナ5類への移行表明 静岡県関係者、歓迎意向「もっと早くても良かったくらい」
岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを「5類」に引き下げると表明した20日、静岡県内の関係者からは歓迎する意見が聞かれた。県民生活は大きな転換期を迎えることになり、5類移行までにワクチン接種の促進など“準備”が必要だと指摘。日常回帰に向け、コロナ禍で浸透した「過度な恐怖心の是正が不可欠」との反応もあった。
「もっと早くても良かったくらい」
浜松市感染症対策調整監の矢野邦夫医師は首相の決断に賛同した。その上で、行動制限の廃止で感染者はある程度増えると予測。高リスク者を中心にワクチン接種が一層重要になるとし、5類移行が見込まれる今春までに「(高リスク者の)5回目接種率を9割超にすべきだ」と述べた。
医療や社会活動の制限見直しとともに、新型コロナに対する過剰な警戒心や予防策も改善されなければ本来の日常には戻らない-との声も。
静岡市立静岡病院感染管理室長の岩井一也医師は「弱毒化してもウイルスをひたすら遠ざけようという風潮は一向に変わらなかった」と振り返り、「コロナは一般的な風邪の一つと認識すべきだ」と強調した。県病院協会の毛利博会長はコロナへの抵抗感は医療従事者も根強く、一部の医療機関が5類移行後もコロナ診療を避ける実態が続かないか懸念する。「(治療を受けられない)コロナ難民を出さないよう指導力が試される」と引き続き行政と連携する姿勢を見せた。
県健康福祉部の後藤幹生参事は感染が落ち着く傾向がある春先の引き下げを「妥当」と評価。内服薬や入院、ワクチン接種にかかる公費負担、実費負担を整理する必要性を説いた。