鍵は「適切な予防、受診」 コロナ対策強化宣言 静岡県、協力呼び掛け
新型コロナウイルスの感染爆発を受け、静岡県が13日に発令した初の医療逼迫(ひっぱく)防止対策強化宣言。病院などと連携し、医療体制を強化してしのぐ構えだ。一方で医療従事者の感染による欠勤が増大し、逼迫が解消されない懸念は残る。根幹的な解決策は感染者の抑制で、関係者は「強い行動制限がない中、県民が感染予防や適切な受診を実践できるかが鍵を握る」と訴える。

「最後のとりでである医師、看護師は悲鳴を上げている」
同日の臨時記者会見で川勝平太知事は危機感を強調した。年明けの県内は新規感染者が1日1万人に迫る日が続き、専用病床はほぼ満床になった。
受け入れ病院は感染症法に基づく県の要請を踏まえ、入院基準を中等症以上や基礎疾患の重い人に限定する。軽快したら速やかに後方病院や自宅療養に移す流れを徹底する。
ただ、病床の回転を高めるこれら方策は仮に実現できても、かつてない感染拡大に歯止めをかけなければ限界が来ることは明らか。複数の病院の幹部は「あくまで感染者の減少が打開の近道」と声をそろえ、外出や会食の慎重な判断、インフルエンザを含めたワクチン接種を県民に求める。
外来診療の混雑緩和に向けては、感染した際の行動も重要になる。会見で川勝知事は、重症化リスクの低い人にキットによる自己検査と自宅療養を強く促した。
県はもともと、基礎疾患のない中学生以上64歳以下の感染者は自己検査・療養受付センターに登録するよう呼びかけていた。若く健康な人にとってオミクロン株感染は、医療機関を介す必要がないと判断したためだ。
ところが現状で同センターの活用は新規感染者の1割程度にとどまる。1日当たり数千人規模が医療機関に押し寄せている計算になり、救急車を利用する人も一定数いる。一連の実態が発熱外来や救急の逼迫を引き起こしている。
県健康福祉部の後藤幹生参事は、センターの本来機能が働けば「高リスク者が確実に診療を受けられる体制を維持できる」とした上で、「医療が機能不全とならないよう(県民は)協力してほしい」と述べた。