居住相談高止まり 低所得、高齢者の賃貸契約難しく 台風15号被災の静岡・清水区

 昨年9月の台風15号で大規模な床上浸水が発生した静岡市清水区で、低所得者や高齢者ら「住宅確保要配慮者」から寄せられた直近12月の居住支援相談件数は19件と、発災以来、ほぼ同水準で推移していることが10日までに分かった。災害から3カ月がたっても生活拠点がままならない被災者の現状が浮き彫りになった格好。支援団体は「件数が多く、迅速な対応が難しい」と苦慮する。

住宅確保要配慮者からの新規居住相談件数
住宅確保要配慮者からの新規居住相談件数

 同区で住宅確保要配慮者の居住支援を行うNPO法人「WAC(ワック)清水さわやかサービス」によると、昨年9~12月の新規居住相談は84件で、前年同期の約2倍。内訳は9月21件、10月24件、11月20件と高止まりが続く。
 住宅確保要配慮者は高齢や低所得、障害などを理由に賃貸住宅の契約が困難なケースがあり、県の委託を受けた同法人が当事者と不動産会社を仲介支援している。「引っ越し先が見つからない」「何から手をつけていいのかわからない」などの相談が多いという。
 実際に支援を受けた岡島秋夫さん(60)=同区=は庵原川が台風で氾濫し、アパートが50センチほど床上浸水した。土砂は片付けたものの、風呂も使えない状態の部屋に2カ月ほど住み続けたといい、「とにかく早く出たかった。新しい住まいが決まって気持ちが軽くなった」と話した。
 同法人統括責任者の鈴木久義さん(49)は「被災から時間がたつほど要配慮者の精神的不安は大きくなる。契約の仲介だけでなく、生活支援も必要な人が多い。一人一人に時間を要するが、根気強く続けていきたい」と述べた。

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