大声援⚽スタンドも心は一つ 藤枝順心V けがで離脱悔しさ秘めながら/ベンチの「10」夢追った仲間も 全日本高校女子サッカー
8日に神戸市のノエビアスタジアム神戸で決勝が行われた全日本高校女子サッカー選手権は、藤枝順心が2年ぶりの優勝を飾った。スタンドではメンバー外の部員約50人が声援を送り、ピッチに立った選手たちを後押し。心を一つにし、仲間がつかみ取った歓喜の味をかみしめた。
決勝では指定されたエリアでの声出し応援が認められ、スタンドの部員は立ち続けて応援歌を響かせた。バス5台で当日駆け付けた在校生約150人も声を張り上げた。
2年の辻沢亜唯さんは昨年10月のU-17(17歳以下)女子ワールドカップ(W杯)で日本代表の主力として全4試合に先発出場。点取り屋として今大会での活躍が期待されていた。しかし、同11月に左足を骨折して離脱。1年時もけがの影響で出場できず「今回は出るチャンスだったのに」と落胆した。
代表にともに選ばれてきた同級生の久保田真生と高岡澪は、今大会で得点するなど勝利に貢献。躍動を目にして悔しさはこみ上げたが、胸にしまって応援に徹した。試合後は「優勝してくれてうれしい」とスタンドのそばまで足を運んだ久保田らを笑顔でねぎらった。
順心ベンチには今大会、背番号10の練習用ユニホームが常に飾られていた。使用していたベアード・サマーさんは一昨年の12月に膝の負傷でサッカーを続けることを断念。元々目標にしていた米国への進学のため、今年3月の卒業を待たずに昨年末に海を渡った。
チームの盛り上げ役だったというサマーさんと「一緒に戦う」との思いを込め、1年生はサマー(夏)を彩る花、ヒマワリをあしらったお守りを手作り。皆でリュックに着けて大会に臨んだ。試合後にはユニホームを掲げて部員全員でサマーさんの応援歌を歌い、同級生の林美希さん(3年)は「米国にいるサマーに良い報告ができる」と喜んだ。
(運動部・吉沢光隆、市川淳一朗)
地元歓喜「次は私が」 藤枝でPV
藤枝市は8日、藤枝順心高が出場する全日本高校女子サッカー選手権決勝のパブリックビューイングを同市の小杉苑で開催した。スクリーンの前で全国制覇の瞬間を見届けた地元関係者らが歓喜の声を上げた。
順心高サッカー部のジュニア・ユースチームに所属する小中学生やその保護者ら約50人が参加。ユニホームカラーと合わせた旗を手に、固唾(かたず)をのんで観戦した。プレーに一喜一憂し、ゴールや勝利の瞬間には旗を掲げて喜んだ。
小学生の娘が順心サッカークラブに所属する公務員西村惟人さん(41)=島田市=は「一生懸命にプレーする姿がとても格好良く、感動した」と笑顔を見せた。順心中2年で、高校サッカー部でのプレーを目標にする日下部京音さん(14)は「攻守の切り替えが早い順心らしいサッカーだった。伝統の強さを引き継げる選手になりたい」と表情を引き締めた。
静岡新聞社速報 快挙伝える
静岡新聞社は8日、全日本高校女子サッカー選手権で藤枝順心高が優勝したことを伝える速報を、地元の藤枝市をはじめ県内各地で張りだした。
同市築地のスポーツ用品店「スポーピアシラトリ藤枝店」では、入り口付近に速報を掲示。来店客が足を止めて見入った。
同市出身の会社員渡辺高規さん(35)=名古屋市=は「ちょうど帰省したタイミングで舞い込んできたうれしいニュース」と喜んだ。テレビで優勝を見届けてから来店したといい「母の出身校でずっと応援している。全国の舞台で活躍を続けていて、サッカーのまち藤枝の誇りです」と笑顔を見せた。