⚽藤枝順心・下吉 決勝へのミドル 全日本高校女子サッカー選手権
第31回全日本高校女子サッカー選手権は5日、兵庫県のノエビアスタジアム神戸で準決勝を行った。静岡県の藤枝順心は作陽(岡山)に1-0で競り勝ち、優勝した第29回大会以来2年ぶりの決勝進出を果たした。
藤枝順心は0-0で前半を折り返したが、後半11分にMF下吉優衣がミドルシュートを決め先制した。スピード感のある相手の攻撃に対し、前を向かせない早めのプレスが随所で光った。
全国高校総体準優勝の十文字(東京)は昨年の選手権準優勝の日ノ本学園(兵庫)をPK戦で破り、決勝に進んだ。
▽準決勝
藤枝順心 1(0―0 1―0)0 作陽(岡山)
▽得点者【藤】下吉(久保田)
【評】藤枝順心が後半に奪った1点を守り、作陽との接戦を制した。
ボールを保持して優位に立った藤枝順心は前半、何度か好機をつくったが相手の粘り強い守備に阻まれ無得点で折り返した。後半も、中盤でボールを奪い一気に展開するプラン通りの攻撃を継続して重圧を与え、同11分にMF下吉のミドルシュートで先制した。
守備はカウンターを警戒しつつ、素早いプレスで相手のスピードを封じた。
迷わず左足振り抜き 値千金弾「めちゃうれしい」
藤枝順心のMF下吉のミドルシュートが均衡を破った。「監督からいつもシュートの意識を持てと言われていたので思い切り蹴った」。自身の今大会初ゴールは、チームを決勝へと導く価値ある得点となった。
舞い込んだチャンスに目の色が変わった。ボールを受け、前を見て即座に狙えると判断。中央やや左寄りのペナルティーエリア外から迷わず左足を振り抜いた。相手選手に当たりコースが変わった幸運も味方に「振ってみたら入った。めちゃうれしい」とはにかんだ。
日替わりで活躍する選手が登場する今大会の順心。また生まれた新たなヒロインに中村監督は「テクニックに優れる選手でドリブルやミドルレンジパスなどが得意。普段言っていることを意識し思い切ってプレーしてくれた」と活躍に目を細めた。
4強で阻まれた前回の壁は越えたが、満足はしていない。「決勝でも得点に絡み、守備も粘って貢献したい」と下吉。大会最多6度目の優勝を達成し、新たな歴史を刻むつもりだ。
相手速攻封じ浅田が存在感
藤枝順心は、前線にスピードのある選手をそろえた作陽の攻撃を警戒した。ボールを保持しながら、取られても早めに奪い返すリスク管理を徹底し、相手のシュートを1本に押さえ込んだ。
ダイレクトプレーをさせずに、中盤の選手がボールを引き込み、スピードに乗せる前に奪うことで、相手が得意とする速攻の芽を摘んだ。6得点で快勝した準々決勝から一転して攻撃は苦戦したが、ボールを奪ってからのゴールへの展開でじわじわとプレッシャーも与え続けた。
ゲームキャプテンのMF浅田は狙い通りに攻守で貢献。「中盤で相手に(思い通りの)プレーをさせないようなプレスができた」と振り返った。