憲法に関心、低下傾向 静岡新聞社県民調査、9条改正容認派上回る

 静岡新聞社が2022年12月、18歳以上の静岡県民570人を対象に行った日本国憲法に関する意識調査で、憲法に関心が「ある」「ある程度ある」と答えた人は63・9%だった。19年には70%を超えていたが、関心が薄れている傾向が見られる。平和主義や戦争放棄を掲げる9条を巡っては、改正容認派が現状維持派をやや上回る結果となった。
 憲法への関心が「ある程度」を含め「ある」と回答した人は20年は66・8%、21年は64・7%で、3年連続で低下した。改憲について「改正に向けて積極的に議論すべき」「議論した結果、改正することがあってもよい」とする容認派は例年同様7割を超えた。理由として「憲法の規定が時代に合わなくなっている」が群を抜いて多く、「新たな権利や義務を盛り込む必要があるから」が続いた。
 9条の在り方については「解釈や運用での対応は限界なので改正する」が38・4%で、「これまで通り、解釈や運用で対応する」が30・5%。「分からない」が14・9%で、「厳密に守り、解釈や運用で対応しない」は13・7%だった。
 政府は22年12月、新たな国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定を閣議決定し、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記。防衛政策の大転換となる中、自由回答では「しっかりと議論し、合意形成を図るべきだ」との意見が複数寄せられた。このほか、女性天皇や夫婦別姓などに関する議論を求める声もあった。

 静岡新聞社憲法調査結果
 問1 あなたは日本国憲法に関心がありますか、それともありませんか。次の中から一つお答えください。
 関心がある 22.1(19.9)
 ある程度関心がある 41.8(44.8)
 あまり関心がない 28.4(27.3)
 関心がない 6.0(5.5)
 分からない 1.8(2.6)
 
  問2 あなたは今の憲法をどのように評価しますか。次の中から一つお答えください。
 立派な憲法で普遍的な価値がある 16.8(19.4)
 憲法の趣旨と現実が合っていない面がある 48.6(47.9)
 「日本の憲法」としての特色がない 4.7(4.1)
 特に何も思わない 20.4(20.1)
 その他 1.8(1.7)
 分からない 7.7(6.9)

 問3 あなたは憲法改正について、どう思いますか。次の中から一つお答えください。
 改正に向けて積極的に議論すべきだ 11.9(12.9)
 議論した結果、改正することがあってもよい 58.9(59.9)
 議論は構わないが、改正の必要はない 12.8(14.8)
 改正するべきではなく、議論する必要もない 2.6(2.7)
 その他 2.3(1.7)
 分からない 11.4(8.1)

 問4 (問3で「改正に向けて積極的に議論すべきだ」「議論した結果、改正することがあってもよい」と答えた人に伺います)あなたがそう思う最も大きな理由は何ですか。次の中から一つお答えください。
 米国に押しつけられた憲法だから 4.5(3.6)
 制定以来、一度も改正されていないから 15.8(10.0)
 憲法の規定が時代に合わなくなっているから 52.0(59.7)
 新たな権利や義務を盛り込む必要があるから 24.9(22.3)
 その他 1.0(2.6)
 分からない 1.8(1.9)

 問5 (問3で「改正に向けて積極的に議論すべきだ」「議論した結果、改正することがあってもよい」と答えた人に伺います)あなたが見直しや追加が必要だと思うものを次の中から二つお答えください。
 憲法前文 2.2(2.3)
 天皇制 11.3(14.9)
 憲法9条と自衛隊 27.6(21.4)
 国際貢献 4.7(5.0)
 内閣・議会制度 12.0(12.9)
 地方分権 9.3(9.0)
 環境権 5.2(6.1)
 知る権利・プライバシー保護 13.0(13.3)
 司法制度 8.0(5.5)
 憲法96条(改憲の発議要件) 3.6(3.1)
 その他 3.6(6.6)

 問6 (問3で「議論は構わないが、改正の必要はない」「改正するべきではなく、議論する必要もない」と答えた人に伺います)あなたがそう思う理由は何ですか。次の中から一つお答えください。
 憲法が戦争放棄と国際貢献を掲げているから 30.7(37.6)
 憲法を変えると「軍事大国」への道を開く可能性があるから 23.9(24.8)
 今の憲法で不都合なことは何もないから 26.1(23.8)
 今の憲法規定を実現すること、あるいはもっと生かすことが先決だから 13.6(6.9)
 その他 1.1(2.0)
 分からない 4.5(5.0)

 問7 憲法9条は、国際紛争を解決する手段としての「戦争」を放棄し、「戦力を保持しない」ことを定めています。政府はこれまで自衛隊の存在や活動について、憲法解釈や運用で対応してきました。あなたは9条について、今後どうすればよいと思いますか。次の中から一つお答えください。
 これまで通り、解釈や運用で対応する 30.5(34.3)
 解釈や運用で対応するのは限界なので、9条を改正する 38.4(34.8)
 9条を厳密に守り、解釈や運用で対応しない 13.7(13.0)
 その他 2.5(3.1)
 分からない 14.9(14.8)

 問8 裁判のやり直し(再審)に関する規定が刑事訴訟法に19カ条しかなく、法の不備が人権救済を妨げているとして、憲法の理念に照らし、法制度を整えるべきとの声が再審の請求人や弁護人から上がっています。あなたの考えを次の中から一つお答えください。
 再審法制を整えるべき 57.9(-)
 再審法制を整える必要はない 6.7(-)
 その他 1.6(-)
 分からない 33.9(-)

 問9 あなたは普段どの政党を支持していますか。次の中から一つお答えください。
 自民党 26.5(30.2)
 立憲民主党 4.7(8.1)
 日本維新の会 2.8(4.6)
 公明党 0.9(1.2)
 共産党 1.9(1.2)
 国民民主党 2.6(3.1)
 れいわ新選組 1.8(0.9)
 社民党 0.4(0.7)
 NHK党 0.4(0.2)
 参政党 0.9(-)
 支持政党なし 50.4(45.3)
 分からない 6.8(4.6)

 【性別】
 男性 51.2(53.5)
 女性 48.8(46.5)

 【年代】
 10、20代(10代は18、19歳) 23.3(26.4)
 30代 19.5(19.4)
 40代 18.8(17.0)
 50代 17.5(18.0)
 60代以上 20.9(19.2)

 【職業】
 農林漁業 2.8(1.7)
 商工・サービス業 15.6(18.4)
 自由業 5.4(3.6)
 管理職 9.1(7.7)
 事務・技術職 24.6(27.1)
 現業職 4.0(3.4)
 主婦 11.6(10.3)
 学生 8.1(6.3)
 無職 7.0(5.5)
 その他 11.8(16.0)

 【市町】
 静岡・浜松・沼津・富士市 57.9(59.5)
 その他の市 37.4(33.1)
 町 4.7(7.4)

※数字は回答総数に対する%。カッコ内は2021年末

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