元日 河津の旅館火災、客80人避難 電気系統の不具合原因か

 1日午後5時20分ごろ、河津町梨本の旅館「リバティーリゾートAMAGISO」から「露天風呂付近が燃えている」と119番があった。宿泊者約80人は逃げて無事だった。3階建ての施設本館を半焼、およそ10時間後に鎮火した。

炎を上げて燃える旅館=1日午後5時半ごろ、河津町梨本(読者提供)
炎を上げて燃える旅館=1日午後5時半ごろ、河津町梨本(読者提供)
炎を上げて燃える宿泊施設=1日午後7時40分ごろ、河津町梨本
炎を上げて燃える宿泊施設=1日午後7時40分ごろ、河津町梨本
炎を上げて燃える旅館=1日午後5時半ごろ、河津町梨本(読者提供)
炎を上げて燃える宿泊施設=1日午後7時40分ごろ、河津町梨本

 下田署や下田消防本部によると、施設の本館と外湯をつなぐ通路付近から出火したとみられる。施設は河津川沿いの崖近くで、3階部分が周囲の地上と同じ高さに立地。1階の通路付近から本館に燃え移り、主に3階を焼いた。付近に火の気はなく、電気系統の不具合による出火の可能性があるという。日帰りの温泉客や従業員約20人にもけがはなかった。消火活動中に下田消防署の署員1人が軽傷を負った。
 宿泊者は町内の別施設に移動するなど避難。一部は家路に就いたとみられる。外湯から戻る途中だったという50代の男性宿泊客は「湯引きのバルブのようなものがある近くで炎がメラメラと燃えていた。目の前の出火でひやひやした」と声を震わせた。
 施設は2日、「近隣やお客さまに心配と迷惑をおかけし、おわび申し上げる」とのコメントを出した。

 有名宿、炎に 浴衣のまま外へ
 年明け早々に山あいの閑静な温泉街が喧騒(けんそう)に包まれた。火元となった河津町の旅館、リバティーリゾートAMAGISOでは、正月休みの宿泊者の多くが浴衣姿のまま避難。冬の日暮れに発生した突然の火災に体を震わせ、従業員は対応に追われた。
 同施設は元々老舗温泉旅館「天城荘」として知られていた。町内でも指折りの施設だったが、2017年に民事再生法の適用を申請。その後はソフトウエア開発などのリバティー(静岡市駿河区)が運営を担ってきた。近くの実家に帰省中だった30代女性は「空が炎で赤く染まった。地元では有名な温泉なのでショック」と声を落とした。
 ホームページによると、客室は全31室。貸切を含む内湯3カ所に外湯7カ所があり、温泉プールも備える。付近には「河津七滝」が立地し、その一つ「大滝」の露天風呂からの眺望を売りにしている。風呂文化を題材にした映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地にもなった。

 

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