サクラエビ豊漁願う 由比伝統「お太鼓祭り」 静岡市清水区で3年ぶり開催
旧東海道沿いにサクラエビの仲買人らの旧家が立ち並ぶ、静岡市清水区由比町屋原地区で1日、3年ぶりに県無形民俗文化財の豊積神社お太鼓祭りが行われた。不漁続きのサクラエビ漁は2022年の秋漁でようやく資源回復に薄日が差した。商人は主漁場の富士川沖で行われる今年の春漁に望みをかけた。
「今年しゃ豊年 穂に穂が咲いて海にゃ紅さす サクラエビ」
祭りは通例三が日通して行われる。今年は引き続き新型コロナウイルス感染対策のため元日のみ。それでも参加者たちはサクラエビの豊漁を願う独特の歌を口ずさみながら太鼓を積んだ台車と一緒に旧道沿いを練り歩き大いに盛り上がった。「原藤商店」を切り盛りし、自宅前で鉢巻き姿で太鼓を打った原藤蔵さん(71)は「サクラエビにかかわる全ての人が潤うようになれば」と願った。
祭りは、坂上田村麻呂の蝦夷(えぞ)討伐の戦勝祈願に由来し、1200年以上の歴史があるとされる。
21年に新型コロナ禍を受け、大火発生や太平洋戦争中も続けていた祭りが初めて中止に。21~22年の中止の間も、地元では子どもたちを夜に神社に集め太鼓の練習を行うなど継承活動を続けてきた。
地区では若者が減り、祭りの担い手不足も深刻。保存会の原裕喜会長(66)は「来年はいつもの祭りに戻れば」と期待を込めた。