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長距離界の18歳ホープ 米沢奈々香(浜松北浜中出)目の前を一歩ずつ 陸上女子【Focus】

 10月の全日本大学女子駅伝。杜(もり)の都・仙台の観衆の視線を1人のルーキーがくぎ付けにした。名城大の1区米沢奈々香(浜松北浜中出)。スタート直後に集団の大外を回って一気に先頭に出ると、ハイペースで次々と後続をふるい落としていく。「大学初駅伝。チームに勢いを付けたかった」。2位に19秒差の区間賞。史上初の6連覇をぐっと引き寄せた。

全日本大学女子駅伝1区区間賞で名城大の6連覇を引き寄せた米沢奈々香(手前)=名古屋市
全日本大学女子駅伝1区区間賞で名城大の6連覇を引き寄せた米沢奈々香(手前)=名古屋市

 中学3年の全国中学校体育大会1500メートルで優勝。名門の宮城・仙台育英高に進むと、3年夏に全国高校総体1500メートル、3000メートルとも日本人1位になり、冬の全国高校駅伝は1区を独走して頂点に導いた。誰もが認める世代トップランナーだ。
 ただ、本人はいたって自然体。結果や勝敗に固執することなく「レース後に反省はするけど後悔はしない。どんな結果でも頑張ったから。過程も大事にしたい」と自分の信念を貫く。高校卒業後も競技だけに集中するなら実業団という選択肢もあったが「将来いろいろな道に進めるように」と進学。教員免許取得を目指し、競技と学業を両立する。
 これだけの実力がありながら「世界は遠い存在」という。五輪や世界選手権を「目標」と言ったこともない。常に目の前のレースに集中し、実績を残してきた。「重要な大会に合わせられる選手」が理想像。今季は5月に左膝の靱帯(じんたい)を痛めて2カ月間走れず「今までで一番の挫折」を経験しながら、駅伝シーズンにきっちり仕上げてきた。
 名城大での1年目のシーズンも間もなく終わりを迎える。世界に挑む先輩と競い合う日々を過ごし、少しだけ心境の変化もあった。「高校時代より世界のレースに近づけているのかな。一つ一つの積み重ねの先に何かが見えてくれば」。まずは来季、世界ユニバーシティー大会への出場を目指す。
 30日に富士、富士宮市を舞台に開かれる富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)。出場すれば中学以来の地元レースになる。「静岡の方々は高校時代も応援してくれた。地元で走れるようにメンバー争いを勝ち抜きたい」。才能あふれるスピードランナーが、故郷から新たな一歩を踏み出す。

 よねざわ・ななか 2004年2月24日、浜松市浜北区出身。小学1年で剣道を始めた時、体力づくりのため地元の美薗RCで陸上競技を始めた。仙台育英高の3年間は主力として全国高校駅伝で優勝2度、3位1度を経験した。自己記録は3000メートル8分59秒57、5000メートル15分31秒33。名城大人間学部1年。18歳。

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