「チャック付き袋」の生産日本社、環境配慮型製品を拡充 バイオマス原料や紙素材 浜松市に製造拠点
チャック付きプラスチック袋のパイオニアで、浜松市に製造拠点を置く生産日本社(東京都)が、植物由来の原料などを活用した環境配慮型製品のラインアップを拡充している。SDGs推進の社会的機運を背景に引き合いが強まっている。幅広い企業に販促するほか、官公庁への提案にも注力する。
チャック付きプラスチック袋「ユニパック」シリーズではサトウキビ由来のバイオマス原料を30%配合した「ユニパックバイオ」のほか、成形済みプラスチックのリサイクル原料を付加して計7割を環境配慮型原料にした「ユニパックエコバイオ」を開発した。いずれも二酸化炭素(CO2)排出量を従来品より約3割削減。土中の微生物の働きで水とCO2に分解され、土にかえる機能を持った「生分解ユニパック」も追加した。
食品、薬品など幅広い用途に対応する多機能チャック袋「ラミジップ」シリーズは、紙製容器包装の「紙マーク」を表示できる「エコバリアペーパー」を発売した。独自のチャック技術でプラスチック使用量を約3割減らし、印刷はバイオマスインキを使用した。
同社の環境配慮型製品の全製品に占める比率は現在5%程度だが、今後5年をめどに新製品の展開や既存製品のリニューアルを進め、約30%まで引き上げる方針を掲げる。辻智弘執行役員は「今後も環境に優しい製品を開発し、市場ニーズに応えたい」と話す。
浜松で生産 生活定着
生産日本社は1949年設立。59年に世界に先駆けてチャックと袋の一体成形に成功し、その後特許を取得した。内容物やニーズに応じて拡充を図り、生活必需品として国内外で使用されている。
取引先は食品、薬品、化粧品、工業製品、スポーツ用品、金融機関、官公庁など多岐にわたる。約500種類の規格品に加え、チャック開閉の強弱や柔軟性、袋の厚み、色、素材などオーダーメードに対応できる技術力が強みだ。
品質や供給面から国内生産にこだわり、1961年完成の浜松工場(中区)のほか、浜北工場(浜北区)、都田工場(北区)を置く。同社は「日本の中心地にあり物流の利便性が高い。創業者の出身地が東区という縁もあり、浜松を選んだ。今後も当地で生産を続ける」としている。
2022年3月期の売上高は128億円。コロナ禍に伴うものづくりの国内回帰需要が高まり、取引先が拡大しているという。