大自在(12月25日)トナカイ

 新型コロナ感染拡大で移動が制限され、サンタクロースが来ないかも…。子どもたちの不安に、一昨年は世界保健機関(WHO)の専門家が、去年はサンタが住むとされるフィンランドの外務省が、手を打ったから問題なしと発表した。
 今年はその心配はなかったようだ。しかし、ミサイルが飛ぶウクライナや日本海の上空を通る時、サンタは緊張しただろう。今季一番の寒気が流れ込んで上着の襟を立てたか。
 けさ目を覚まして枕元のプレゼントを喜んだ子、ゆうべ父母からもらった子、離れて暮らす祖父母から届いたという子。その笑顔をいつまでも。
 サンタは、トナカイが引く魔法のそりで空を駆ける。このシーンは200年ほど前、米国の子ども向けの本で初めて登場したという。そりが8頭だてというのは、北欧の神獣、8本足の馬とつながるかららしい。
 トナカイにも「ありがとう」と言わなければ。トナカイはアイヌ語由来の日本語。「馴鹿」と書くが、犬ほどは人に馴[な]れず、集団でそりを引くのは現実には難しいという。プレゼントの配達に当てはめれば、トラックはそりとトナカイ、ドライバーはサンタと一緒に住んでいる妖精か。昨日の本欄ではトラック運送業界の「2024年問題」を取り上げた。
 サンタは年々、仕事がしづらくなっているようだ。「安全上の理由で」「甚大な気象災害のため」サンタが来られなくなったと、子どもたちの夢を壊したくない。23年度予算案は防衛費大幅増や脱炭素を重点化。子ども予算も手厚いが、首相の「倍増」は先送りされた。

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