記者コラム「清流」 戦力外からの巻き返し

 2年前に戦力外になったプロ野球選手が今秋、日本シリーズのマウンドにいた。日大三島高出身、ヤクルトの小沢怜史投手。敗色の濃い展開だったがプロ7年目の右腕にとってはハイライトだった。
 高3夏の静岡大会で県内最速の152キロを記録しドラフト2位でソフトバンク入り。スカウトはこう評価した。「彼は早(3月)生まれ。高2で152キロと考えている」。伸び代を踏まえ長い目で育ててもらえるものと受け止めたがプロの世界は無情だった。
 感情をあまり表に出さない小沢投手に秘めた闘志を見たのはそこからだ。トライアウトを経て育成契約、支配下登録、初勝利。口数が少なく大言壮語を吐かない小沢投手が言う。「日本シリーズの悔しさは日本シリーズで返す」。来季もやってくれそうだ。

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