テーマ : 教育・子育て

静岡県内一部の学校給食 「黙食」緩和でも戸惑い コロナ禍習慣、感染リスク… 子ども切り替え難しく

 新型コロナウイルス対応で徹底されてきた学校給食の「黙食」を緩和する動きが県内で出始めた。コロナとの共生に向けた前向きな変更だ。ただ、約2年半続いた習慣からの“解放”に、子どもたちには戸惑いが見られる。感染急増が懸念される時期でもあり、年明けまで様子見という学校もある。

黙食の緩和後も静かな給食の時間。ウィズコロナへの模索は続く=20日、静岡市立森下小(写真の一部を加工しています)
黙食の緩和後も静かな給食の時間。ウィズコロナへの模索は続く=20日、静岡市立森下小(写真の一部を加工しています)

 「うれしいけれど、慣れない感じ」
 静岡市駿河区の森下小で20日、5年1組の梅野百花さん(11)は率直な思いを口にした。
 同校が給食時の会話を再開したのは前日の19日。市教委が国の方針を踏まえ16日に「大声でなければ会話してもよい」と通知したのを受け、土日を挟んで速やかに対応した。児童や保護者にコロナ感染者がほとんどいない状況も判断材料になった。
 ただ、いざ給食時間が始まっても会話や笑い声はほとんど聞かれなかった。全員が前を向いて食べる距離感の難しさもあってか、黙々と食べる姿が目立った。食後、「感染が怖い」「(マスクを着けている)休み時間に話せればいい」と言う児童もいた。
 「『おいしいね』というやりとりが生まれるだけでもいいですが…」と担任の箕浦光起教諭(28)。5年生は低学年の時ににぎやかな給食を経験したが、2020年6月から続いた習慣は大きく、「すぐには切り替えられないでしょう」と理解を示し、教え子の変化や様子を見守る構えだ。
 浜松市も適切な対策を取れば会話を可能とした。教員が「黙食」の言葉を意識的に使わないようにもしている。一方で、市内で発生したコロナによる学級閉鎖を見て、緩和をちゅうちょする学校もあるという。市教委健康安全課の富部哲也課長は「インフルエンザの流行も懸念され、冬休み明けに判断するケースもあるだろう」と現場の苦悩を代弁した。

 <メモ>文部科学省は11月29日、学校給食の際、適切な対策を講じれば「会話は可能」とする通知を都道府県教委などに出した。政府の新型コロナウイルス対策の基本的対処方針から「黙食」の文言が削除されたことに伴い、給食中の黙食は求めていないことを明文化した。

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