教授ら3人査読不正 福井大調査委、論文6本で認定 浜松医大元教授関与

 福井大「子どものこころの発達研究センター」の友田明美教授が自らの論文の「査読」に関わったとされる問題で、福井大の調査委員会は20日、友田教授ら3人の論文計6本で「不適切な行為」があったと認定する調査結果報告書を発表した。これまでに撤回された論文2本を除く4本について友田教授に取り下げを勧告、福井大は教授らへの処分を検討する。
 報告書によると、友田教授は、学術誌に投稿した論文の査読者3人からメールで依頼を受け、教員ら2人に指示して査読コメント案を作成させた。査読者は返信されたコメント案を利用して学術誌出版社に提出、論文が学術誌に掲載された。友田教授はコメント案の提供について「(査読者が)自分より経験がある著名な研究者で、査読に関わる労力を減らすべきと判断した」という趣旨の説明をしている。調査委は「研究データの改ざんなどが行われたわけではなく、研究成果をゆがめるものではなかった」とした。
 査読を担当した3人は千葉大教授と金沢大元教授、浜松医科大元教授。いずれも友田教授が出版社に推薦し、千葉大教授は最も多い論文5本を担当した。

 査読コメント案を浜医大元教授依頼
 福井大の友田明美教授が自らの論文の「査読」に関わったとされる問題で、浜松医科大は21日までに、同大医学部の元教授が友田教授に査読コメント案を依頼し、提供を受けたコメントを出版社に送っていたとする調査結果を発表した。
 福井大から8月に要請があり、浜医大は外部委員を含む予備調査委員会を設けて調べた。元教授の行為の事実関係を確認した一方、元教授は論文著者に査読コメントを求めることに倫理上問題があるとの認識はなかったという。友田教授の当該論文以外の査読には携わっていないほか、2人の間の利害関係も確認されなかった。
 浜医大は調査結果について「不適切な行為が行われたことは大変遺憾」とした上で、「科学者の行動規範および社会通念に照らし、研究者倫理からの逸脱は存在するが、逸脱の程度が甚だしいとまでは言い切れない」との判断を示した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ