払っていますか?交通安全協会費 「断るのが苦痛」との声 静岡県外ではチャイルドシート貸し出しなど特典も【NEXT特捜隊】

 「運転免許証を更新する際、交通安全協会費をお願いされるのが苦痛です」との投稿が静岡新聞社「NEXT特捜隊」に届いた。投稿者の女性いわく「断ると窓口の方がふてくされているように感じます」とのこと。免許証窓口で会費を募る理由をはじめ、協会費の用途、会員になるメリット、他県の事例などを調べた。

 ■「あくまで任意」 会費は交通安全活動費に
 交通安全協会は全国各地にあり、協会費を基に、交通安全教育や広報啓発活動などを行う団体だ。早速、静岡市葵区の静岡県交通安全協会を訪ねた。対応してくれた堀場靖史総務部長は「協会費はあくまで任意で、強制するようなことは決してありません。子どもや高齢者の事故防止など交通安全活動費に充てています」と話す。一方で、投稿者の女性は「確かに強制ではないものの、断っても重ねて『ご協力いただけませんか?』と聞かれた。若い方は断り切れないのでは」と指摘する。
 会費の具体的な用途は、交通安全教室を開催するための活動費、交通安全を呼び掛けるのぼり旗や自発光式反射材などの購入費、優良運転者や交通安全功労者らを表彰するためのメダルや表彰状などの製作費、新聞・テレビ・ラジオによる広報費など。会費は1年あたり400円。主に各警察署や東部・中部・西部の運転免許センターで運転免許証更新時などに会費をお願いしている。優良運転者の場合、運転免許の更新手数料2500円、講習手数料500円、協会費400円5年分で2千円。計5千円をまとめて支払うことになる。
 ■なぜ窓口で徴収? 県議会で指摘された過去も
 免許証の取得や更新時に会費を募る理由について、「(運転免許証保持者に)均等にお願いするため」(堀場総務部長)としている。ただ、任意の会費と免許証の更新や取得に不可欠な手数料を同時に徴収している点について、過去に県議会で取り上げられたことがある。県議会図書室に議事録が残っていた。
 1988年の県議会6月定例会で、花井征二県議(故人)が「交通安全協会の加入と会費の徴収が、免許証更新手続きの際に行われ、取扱窓口も警察業務と何ら区別されない状況であり、強制加入ではないかと県民の厳しい批判を買っている」と指摘。当時の県警本部長は「交通安全協会への加入はあくまで任意であり、紛らわしくないようにする」とした上で、警察署の免許更新窓口と交通安全協会の窓口を明確に分離する考えを示していた。
 ■そもそも交通安全協会とは? 免許関係事務を委託
 そもそも静岡県交通安全協会は、交通事故が社会問題化しつつあったとされる1931年、民間の交通安全活動を組織的に推進するために「交通安全協会」が誕生した。1952年に法人格を取得し、2012年に一般財団法人になった。また、運転免許証を発行する県公安委員会が免許関係事務などを県交通安全協会に委託していて、事務局の主要ポストは県警OBが務めている。
 県内に30ある地区支部は任意団体。会費は各警察署や一部分庁舎にある地区支部がそれぞれ管理し、収支決算書は県交通安全協会のホームページで公開している。会費を納める人の割合は減少傾向で、加入率が高い地域で7割程度、低い地域は4割程度とみられる。都市部は加入率が低い傾向にあるという。
 ■加入のメリットは 他県ではチャイルドシート貸し出しや見舞金も
 加入のメリットはあるのか。静岡県の場合、▽更新通知はがきとは別に、更新忘れ防止はがきの郵送▽運転免許ケースなど粗品の進呈▽優待店で割引やポイントアップ▽優良運転者、交通安全功労者らの表彰ーなどの特典がある。
 他県の事例を調べると、広島県では会員にチャイルドシートを無料で2週間貸し出したり、交通事故で長期入院した会員に見舞金を給付したりしている。チャイルドシートの貸し出しは、年末年始やお盆などの帰省シーズンに人気で、孫を連れた子供の帰省に合わせ、祖父母が借りるケースが多い。里帰り出産でも一定の需要があるという。年末年始などは予約でいっぱいになることも多く、担当者は「会員になるメリットを感じていただけていると考えています」と話す。北海道には自動車学校を運営するなど特徴的な交通安全協会もある。
 他県の事例などを伝えると、投稿者の女性は「(静岡県交通安全協会にも)協会費を任意でも払ってもらえるような活動をしてほしい」と話している。

交通安全協会 払っていますか? ※締め切りました
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