リニア・県境越えボーリング 「水戻す必要性、首長が理解」 静岡県、意見交換会の成果強調 

 静岡県くらし・環境部の渡辺光喜参事は15日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題を巡り、大井川流域市町の首長が県有識者会議専門部会の委員と意見交換した成果について「高速長尺先進ボーリングによって県内の水が(県外に)抜けるため、水を戻す対策が必要だとおおむね理解いただけた」と述べた。県議会危機管理くらし環境委員会で委員の質問に答えた。
 意見交換会は11日に県庁で行われ、JR東海が山梨県から静岡との県境を越えて実施する方針を示している高速長尺先進ボーリングの取り扱いなどがテーマになった。
 意見交換前は同ボーリングに理解を示す発言をする首長が多かった。渡辺参事は、4日に開かれた専門部会でJR東海が同ボーリング実施中も終了後も湧水を止めずに流し続ける計画を示したことから、「委員から説明を聞いて認識が変わったのではないか」との見方を示した。
 危機管理くらし環境委員会の委員からは「考えの異なる専門家の意見を聞いて惑わされる首長もいた。まず県の見解を説明するべきだ」などの意見が出た。
1月から準備、まず山梨 JR東海社長一問一答
 都内で15日に行ったJR東海の金子慎社長の定例記者会見における主なやりとりは次の通り。
 ―山梨県側から静岡県境を越えて行う高速長尺先進ボーリングに関し、2023年1月から行う計画に変更はないか。
 「来年1月から準備に入り、まず山梨県内のボーリングから始めていく。県専門部会で引き続き、水を戻す方策と合わせてボーリングの調査の必要性も説明していきたい」
 ―ボーリングを行う際、田代ダムの取水抑制を活用する考えはあるか。
 「少ない量であっても発生する湧水はある。その水をどうするかが、県専門部会で問われている。静岡県と議論していく」
 ―ボーリングに関し、JR東海の論文で、水抜きの効果を強調する記述がある一方、金子氏は「ボーリングの口径は先進坑と比べて格段に小さい。ボーリングが大井川中下流域に与える影響は小さい」と発言した。矛盾しないか。
 「矛盾していない。工法自体は水抜きにも使えるが、目的は地質と湧水の把握。そのために行う」
 ―あくまでも「水抜き」目的ではないということか。
 「水が出るかもしれないが、それを目的に行うものではない。他に役立つので行うべきと考える」
 ―開業時期の見通しは。
 「申し上げられないという意味で未定だ。静岡工区がまだ着工できていないからだ」
「工事止めていない」 静岡県、JR東海に反論
 県くらし・環境部の織部康宏理事は15日、JR東海がリニア中央新幹線開業の遅れは静岡工区の未着工が原因との考えを文書で示したことについて「工事を止めているという意識はない。(JRの)環境影響評価の内容が不十分なので対話している(状況)」と反論した。県議会危機管理くらし環境委員会で委員の質問に答えた。
 JR東海は、県が11月25日付文書で他都県のリニア工事の進捗(しんちょく)状況などを尋ねたのに対し、今月14日に回答文書を送った。リニア開業に直接影響を及ぼしているのは未着工の静岡工区だと指摘した上で、各地の工事状況はホームページで公表しているとして新たな情報は開示しなかった。
 渡辺光喜参事も「(静岡工区が遅れの原因と言うのならば)JR東海自らが現在のリニアの状況について正しく伝える義務がある」と述べ、同社の回答内容を問題視した。
 委員からは「静岡県が工事を遅らせていると思われないためにも議論の速度、頻度を高めることが大事だ」などの意見が出た。

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