テーマ : 教育・子育て

PTAどう変える?⑥ しずしんニュースキュレーター/読者の意見【賛否万論】

 「PTA どう変える?」をテーマにした読者投稿の紹介は今回で最後となります。役員経験者からは「やって良かった」「達成感でいっぱいになった」という声のほか、保護者の負担軽減につながるアイデアも寄せられました。「代行サービスに依頼するなどもってのほか」という意見も届いています。
読者 島田市立六合東小学校PTA会長・島田慎太郎さん
 中学生と小学生の2人の子がいる父親です。今までは仕事第一主義で、子どものことはほとんど妻に任せきりでした。そんな時に声を掛けていただき、本年度PTA会長を務めています。どんな学校行事があるのか、PTAが何をするか分からない状態からのスタートでした。
 新型コロナの感染拡大初期の2年間は、全くと言っていいほどPTA活動はしていませんでした。本年度当初、「感染対策をしっかり行い、なるべく学校行事やPTA活動を実施していきましょう」と、校長と意見を交わしました。各部会には、コロナ禍でもできるPTA活動を模索してもらいました。
 その一つが古紙回収でした。これまではPTA委員が回収する大変な作業だったため、本年度はコンテナを学校の敷地内に設置して期間内に各家庭から持ってくるスタイルとしました。
 例年開催されていたPTA事業「東小まつり」は飲食店の出店がメインだった内容を大きく変え、体験型イベントにしました。コンセプトは「ドラゴンクエスト風」。これが保護者世代にはヒットしたのか、子ども以上に大人が盛り上がりながら準備を進めていました。合理的にスリム化を図りながら、子どもたちに何を残すかが大事だと思います。
 子どもが通う学校の環境や校長の考え方、地域とのつながりなどを知ることができ、PTA会長は良い経験になったと言えます。しかし、PTA活動にあまり積極的ではない、もしくは家庭の事情でPTA活動まで行き届かない保護者がいらっしゃるのも現実です。一番重要なのは多様性だと感じます。積極的に参加したい保護者と、あまり参加できない保護者がどううまくつながっていくか。時代の変化に合わせ柔軟に対応していく仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
読者 大島宏幸さん(長泉町)59歳
 PTA役員をやりたくない理由は「何をやっているのか分からない」「仕事に支障がある」「強制されたくない」が主な理由だろう。PTA役員は、罰ゲームなのか?
 横浜市立山内小学校では、本年度役員を決めた時の立候補者数が定員の約1.7倍あったという。校長がインスタグラムで情報発信をして、学校の見える化をしたことで協力者が増えているようだ。
 PTA役員活動を企業の社会貢献とする案は、どうかな。社会貢献ならば、保護者が活動に参加しやすくなる。業務の効率化、会議の仕切り、イベント運営などを実践することで現場のスキルアップが期待できる。多様な人材と交流するようになり活動を楽しめる。1年間の活動報告を会社に小論文で報告することで人事評価もできる。企業がPTA活動を支援する制度をつくることで、学校・保護者・企業が三方良しの関係になれる。PTA活動をやりたいと思う環境をつくることが大切です。
読者 匿名
 沼津市内の小中学校に子どもを通わせています。うちの子の学校のPTAは任意団体であることを説明することなく、入退会届も存在せず、入学式後に急に役員決めをします。「帰らないで」と体育館に残るように言われ、役員決めが始まります。立候補がいない場合はくじ引きで強制選出です。
 1人1回はやるように言われ、やらない場合はどの年にやれるかを登録する制度を設けているそう。共働きやシングル家庭が多く、近年は全国的にも解散や休止、適正化するPTAが多い中、本当に時代遅れに感じます。子どもがいる手前、目立つことはしたくありません。意見を言うにも怖いし、どうにもできないのでこちらに投稿させていただきました。
読者 生駒友一さん(東京都)46歳
 PTA活動についてネット上で批判的な論調ばかりが目立つことが気になっています。本来の意義および潜在的な価値について、メディアの皆さんにはたとえページビューが伸びなくても、もっと積極的に情報発信してほしいです。
 学校が再び軍国少年・少女を育成するような場にならないように、民主主義的な生徒会やPTA活動など、あらゆるチャンネルを通じて絶えずチェックしていくことが大切です。
 さまざまな価値観が交錯する社会の中で民主主義的な運営は簡単なことではありませんが、戦争で無念の死を遂げた先人たちに対する責任のためにも、不戦の誓いを胸に抱きながら民主主義的な活動をすること。「教育の場に国家権力の一方的な介入を許さない」とする気概で、わたしたち国民が絶えず教育の場にも関与していく姿勢はとても大切なことだと思います。
読者 座光寺明さん(磐田市)65歳
 20年前に小学校PTA会長をしました。当時、5年生の保護者間で推薦投票を行い、多数だった人が副会長となり、翌年会長を務めるシステムでした。「学校行事に参加する父親は投票されるから参加は控えた方が…」という声も聞こえてきましたが、私はわが子やクラスの様子を知りたくて、できる限り学校行事に参加していました。すると当然のように推薦され、副会長、翌年会長になりました。
 一部の保護者と学校管理職による運営を改善したくて、全保護者に年2回の朝の正門前あいさつ運動を提案しました。児童の変化を保護者と共有してほしかったので、学校職員も全員参加してもらいました。子どもたちはどんどん大きな声であいさつができるようになりました。
 役員会は夜しかできず、母親にとっては負担になったと思います。「何のための行事か」などを十分話し合った上で実施しました。行事に参加する児童の喜ぶ顔を見ては「やってよかった」と達成感でいっぱいになりました。
 わが子と接する機会が多いほど、子どもの気持ちが分かってきますし、会話も増えます。また、PTA活動を通して親しくなった保護者もたくさんいます。PTA活動はわが子のためだけでなく、自身の視野を広めることにもつながります。
読者 ホップさん(島田市)40代
 この賛否万論をさまざまな意見交換の場として拝見しておりますが、一番困っている人の声は一体誰が適切な場所に届け、解決に導くのかという疑問がいつも湧きます。PTAとは子どもたちの学校環境をよりよくするために大人たちが知恵を絞る集まりのはずなのに、頭でっかちになって本末転倒になっている気がします。今の学校生活での子どもたちの困り事は何だと聞いていますか?
 私の子どもは大きくなりPTAに関わることはなくなりましたが、できることなら市内の学校すべてのPTA会長を引き受け、無意味な感染症対策から子どもたちを救ってあげたい。全行事を大声で、全力で、思いっきり密でさせてあげるために、強要している機関ときっちり話し合いたいです。
 学校での子どもの困り事に寄り添わないなら、PTAの存在意義はないです。外部委託なんてもってのほか。子どもたちは大人の背中を見てそのズルさに気づいています。
読者 元小学校PTA会長の森竜太郎さん(御殿場市)46歳
 ▽もしPTA自体がなくなったとしても、のちのち待望論は出てくると思う。学校とのパイプ役として、コミュニケーションの場として、なくなって初めてありがたみや必要性が分かってくる。
 ▽年単位の任期に抵抗感があるのでは? 児童会や生徒会のように2期制(前期・後期)にすれば、多少なりとも抵抗感減少や負担分散につながる。
 ▽大変な中で役員として貢献している人へもっと優遇を。例えば、地元商店優遇割引証など。
 ▽児童会(生徒会)とPTAの定期対談会を開催すれば。行事や学校生活に関する子どもの要望に耳を傾けたPTA(親)は、それを現実化するため、知識的予算的サポートをする。内容によってはP連経由で市町村に要望する。親はやりがいが出てくる。子どもたちも多少なりとも市政への興味のきっかけとなる。
 実際に任期を全うしてみて、PTA会長の肩書ひとつで学校内外のいろいろな年代や立場の方々と出会えたのがうれしかったです。
次回は同じテーマで 京都でのフォーラム詳報
 次回は、先進的な取り組みをしているPTA協議会の事例発表をオンライン形式で行う「京都PTAフォーラム 『上部組織』のあり方を考える」を詳報します。
 (テーマは変更する場合があります)

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