沼津で水素吸蔵合金量産化 環境技術開発のバイオコーク技研

 環境技術開発ベンチャーのバイオコーク技研(東京都)は、沼津市の沼津事業所で水をかけると水素を取り出せる吸蔵合金「水素化マグネシウム」の製造技術を開発し、量産化に乗り出す。新たに大型設備を導入し、年間生産量を従来の20倍以上に増やす。量産化で価格を抑え、今後の次世代エネルギーの需要拡大に備える。

水素を安全かつ大量に持ち運べる水素化マグネシウム
水素を安全かつ大量に持ち運べる水素化マグネシウム
水素化マグネシウムの量産化に向けて設置した製造装置=11月下旬、沼津市のバイオコーク技研沼津事業所
水素化マグネシウムの量産化に向けて設置した製造装置=11月下旬、沼津市のバイオコーク技研沼津事業所
水素を安全かつ大量に持ち運べる水素化マグネシウム
水素化マグネシウムの量産化に向けて設置した製造装置=11月下旬、沼津市のバイオコーク技研沼津事業所

 マグネシウムのインゴットを切削・プレスしてタブレット化し、炉内で高圧水素を加えて水素化マグネシウムを生成する。軽石のような外観と手触りで、加水分解すると約22グラムのタブレット1個から20リットルの水素を取り出せる。副産物の水酸化マグネシウムは酸素を除去すれば水素化マグネシウムに戻り、二酸化炭素は発生しない。
 水素はガスボンベなどで貯蔵すると爆発の危険性を伴うため、取り扱いの難しさが課題とされてきた。水素化マグネシウムは常温・常圧で大量の水素を安全に持ち運び可能。
 同社は三島信用金庫と日本政策金融公庫から計2億2千万円の融資を受け、沼津事業所に整備する大型装置を用い、年間1トンだった生産量を24トンに拡大する。協業する山口県の化学メーカーも同様の装置を作り、現行で1キロ当たり20万円と高額だった販売価格を10分の1以下に抑え、普及促進を図る。
 水素は次世代エネルギーのほか、医療用や生鮮食品の酸化防止などで需要拡大が見込まれる。上杉堅一営業本部長は「水素活用の動きは急速に活発化するはず。現時点では用途を限定せずに販路開拓に注力したい」と話す。
 (経済部・薮崎拓也)

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