社説(12月3日)地域防災の日 自助と共助 確認徹底を

 地震や気象災害はいつ起きるか分からない。ところが、発生すれば日常生活は大きく損なわれる。今年9月に発生した台風15号による集中豪雨で、災害が身近にあることを改めて強く感じた人が多かったのではないか。
 4日は静岡県「地域防災の日」。1944年12月7日発生の東南海地震にちなみ、12月第1日曜としている。今年も県内各地の自主防災組織が中心となって地域防災訓練が行われる。
 今年のスローガンは「防災は家庭の備えと地域の絆」。広がりを見せる新型コロナウイルス感染症の流行「第8波」が気掛かりだが、災害に備えた自助と共助の態勢を確認したい。コロナ流行後は住民参加型の訓練実施が難しくなった。感染対策を施しながら、可能な範囲で参加したい。
 台風15号による集中豪雨では県内に大きな被害が出た。上水道の取水口が流木でふさがれた静岡市清水区など最大約7万4千世帯が断水となり、全てが復旧するまで12日間を要した。送電鉄塔の倒壊などで同市葵区を中心に最大約12万世帯でも一時停電した。
 まずは自助の備えが重要だ。停電でも電気が使えるにはそれなりの設備や機器が必要だ。少なくとも水や食料の備蓄はしっかり取り組みたい。地震に対しては家具類を固定し、転倒や落下による負傷を防ぐ必要がある。避難場所や避難経路も確認しておきたい。
 集中豪雨で被災した地域では住民同士による助け合いが見られた。災害が大規模、広域化するにつれ、迅速な公助は期待できなくなる。要となる自主防災組織など地域内で支え合う仕組みが大事になる。また、障害者や高齢者など避難行動に支援が必要になる人の把握や、いざという時の支援方法も確かめておく必要がある。
 防災訓練では住民による避難所運営も大事になる。コロナ流行下では、感染対策も重要な項目だ。マスクや消毒液など必要な資機材の用意に加え、被災者の受け入れや誘導手順などを確認してほしい。懸念すべき感染症はコロナだけではない。災害時の避難所内でインフルエンザやノロウイルスの感染が発生した事例もある。
 地震や気象災害に備えて防災機関が発表する防災情報も周知と確認が必要だ。頻発する災害に合わせて近年、改定が繰り返されている。また、南海トラフ地震発生の可能性が高まっていると評価された場合に発表される「臨時情報」は十分周知されているとは言い難い。発表された場合に自分と家族の身をどのように守るかについても考えておかねばならない。

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