泣かせて撮影、カッターで脅す 裾野の私立保育園、体罰・暴言15事例確認

 裾野市は30日、同市の私立さくら保育園の不適切な保育内容を公表した。「たたいて泣かせる」「カッターナイフで脅す」「怒鳴りつけ」―。保育士の「しつけだった」という言葉とはかけ離れた体罰や暴言、冷やかしなど15事例を実際に行われていたと確認した。

保育士による主な不適切行為
保育士による主な不適切行為

 市によると、園では6~8月に1歳児を担当していた30~40代の女性保育士3人が、不適切な保育に関わっていた。15事例には「足をつかんで宙づりにする」「容姿をからかう」「ズボンを無理やり下ろす」といったこれまで園側が認めていた行為も含まれていた。
 さらに「手足口病の症状のある園児の尻を他の園児に無理やり触らせる」「宙づりにした後、真っ暗な排せつ室に放置する」などの行為が明らかになった。村田悠市長は「聞くのもつらく、(報告書を)読むのも心苦しい」と怒りをあらわにした。
 1歳児は約20人。複数の園児が被害に遭っていたが、特定の園児に対する日常的な暴行や暴言もあった。園側は「けが人はいなかった」としている。ただ、保護者からは園児の精神的外傷を懸念する声が出ている。
 園によると、保育士3人のうち主に加担していたのは2人で、暴力や暴言を繰り返していたとみられる。残り1人は「園児をクリアファイルでたたいた」としている。
 3人は事実関係をおおむね認めているとされる。園は2人を推奨退職、1人をけん責の処分にした。管理責任者の園長も10%減給1カ月の処分にした。市によると、保育士1人は「処分に納得できない」として、不服を申し立てているという。

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