社説(11月27日)静岡3クラブJ2 高め合い「王国」復活を

 サッカーJリーグの今季全日程が終了した。来季は清水エスパルス、ジュビロ磐田、藤枝MYFCの静岡県勢3クラブがJ2の舞台で戦う。
 今季、J1では清水が17位、磐田が最下位の18位でともに降格が決まった。清水は2度目、磐田は3度目。1993年のJリーグ発足以来、両クラブがそろって陥落し、静岡からJ1が消えるのは初めて。
 J3では藤枝MYFCが2位に食い込み、クラブ創設14年目で初の昇格を決めた。アスルクラロ沼津は18チーム中15位に終わった。
 来季はJ2で県勢3クラブによるダービーマッチが行われる。ライバルとして互いに高め合う好機となるだろう。「サッカー王国」復活の礎となるような、熱い戦いを期待したい。
 清水と磐田は、創成期からJリーグを引っ張ってきた。だが、両クラブとも近年は低迷が続く。1年でJ1に復帰することが目標となるが、小手先のテコ入れでは、昇降格を繰り返すだけになる可能性もあるだろう。
 両クラブとも中長期的な視点で経営や編成、強化、育成などあらゆる面を見直し、腰を据えて組織の立て直しに取り組む必要がある。サポーターや地域とのつながりを深めるなど、いま一度Jリーグの原点に立ち返ることもクラブ再建には不可欠だ。
 清水は4年連続でシーズン途中に監督交代するなど、強化方針が一定していない。日本代表GKとJ1得点王を擁したが、チームとして機能していたかは疑問だ。続投するリカルド監督には、戦う集団作りが求められる。
 磐田の不振は、世代交代の遅れが要因だろう。若手の台頭が少なく、ベテランに頼らざるを得なかった。だが、J1のスピード、技術などに対応できなかったのが実情だろう。
 磐田は外国人の契約問題を巡り、FIFA(国際サッカー連盟)から補強禁止処分などを受けた。スポーツ仲裁裁判所の裁定待ちだが、新人選手の内定を取り消すなど既に影響は出ている。育成型クラブへの移行で活路を見いだせるか。
 藤枝は就任2年目の須藤大輔監督が掲げる「超攻撃的サッカー」が浸透し、J3で2位の58得点。失点もリーグ2位の少なさと安定した試合運びが光った。上位カテゴリーで戦う資金力や運営面などの課題も多いが、清水、磐田を脅かす存在となってほしい。
 沼津は来季、クラブOBの元日本代表FW中山雅史氏を新監督に迎える。ライセンス維持への障壁だった本拠地の照明不足問題もクリアした。巻き返しに注目したい。

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