焼津・スマートシティ事業本格化 官民協力、情報利活用へ【解説・主張しずおか】

 焼津市の「スマートシティ推進事業」が2022年秋から本格的に動き始めた。行政や各種機関が持つデータをシステムに蓄積させ、市民向けサービスの展開に結び付ける狙い。本年度は産業観光と防災の2分野のデータ利活用を目指す。情報に価値を持たせるためにはデータの量が必要になる。行政はもとより企業の協力が鍵を握る。

焼津市スマートシティ推進事業の全体像
焼津市スマートシティ推進事業の全体像


 この事業は市が昨年11月に策定したDX推進計画で掲げたプロジェクトの一つ「官民連携データ活用組織の構築」を具体化する目的で着手した。
 データを集める分野の一つ産業観光では、基幹産業の水産加工業の収益向上に焦点を当てる。主に水産品で構成するふるさと納税返礼品のデータは市が持っている。これらをシステムに蓄積させることで、事業者、市職員、市民向けのサービスを展開していく。
 具体的には購入した世代や時期などの分析ツール、ふるさと返礼品がどこで買えるかが一目で分かる地図、統計データを機械判読可能な形で公開する「カタログサイト」といったサービスを提供する。
 防災分野については、激甚化する災害に対応する観点で、市民から情報活用のニーズが強かった。検討しているのは土砂災害地域や避難所を表示するデジタルハザードマップの作成。災害時には目的の避難所の定員はもとより、避難者数をリアルタイムで表示し、迅速な災害行動につなげていく。
 市民向けに災害情報を知らせるメールやLINE(ライン)の迅速な発信も可能になるという。過去の災害データを蓄積させ、市職員向けに分析ツールを開発することも検討している。
 事業の根底に「公開可能なデータは市民が役立つように活用すべき」という考え方がある。市はこれに基づき、公開してもよいはずなのに、公開しないでいたデータの提供にかじを切った。さらに多くの事業者が参画すれば、データの蓄積量が増え、展開するサービスの幅も広がる。市は現在、事業者に参画を呼びかけている。
 新型コロナウイルス禍の影響で、主幹産業の水産業も決して楽観視できる状況ではない。持っているデータをつなげることで、新たなビジネスが生まれるかもしれない。官民が手を取り合うことで「魚の町」に新しいうねりが起こることを期待したい。

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