笑いと孤独の新作コメディー SPAC「守銭奴」上演中

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)の「秋→春のシーズン2022―23」2作目となる演劇「守銭奴 あるいは嘘[うそ]の学校」が、静岡市駿河区の静岡芸術劇場で上演中だ。フランスの喜劇王モリエールの名作から、にぎやかで笑って楽しめるSPAC版の新しいコメディーを創り上げた。

「守銭奴 あるいは嘘の学校」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
「守銭奴 あるいは嘘の学校」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場

 異様なまでに金に執着する年老いた商人アルパゴンが主人公。息子、娘、恋の相手、従業員らを巻き込み、結婚や大金を巡るドタバタ劇を繰り広げる。登場人物同士のやりとりが笑いを誘う一方、人間の悲しさや孤独も感じさせられる。
 モリエールの生誕400年を記念して取り組んだ新作。原作で中産階級の設定で描かれた登場人物を「持たざる人」に置き換えた。乱雑な路上をイメージさせる舞台や、クラウン(道化)芝居の要素を取り入れた俳優の動きも見どころだ。
 17世紀の名作戯曲だが、演出のジャン・ランベール・ヴィルド(フランス)は「現代に通じるテーマ性を持っている」と言う。金に執着する人が抱く孤独は、私たち皆が潜在的に抱える孤独とも言える。「アルパゴンを『どこか憎めない』と感じる共感の仕方を通じて、私たち一人一人のお金との距離の取り方や潜在的な『拝金性』を改めて考えさせられる」と話す。
 一般公演は27日と12月3、4、10、11日。いずれも午後2時開演。一般4200円など。問い合わせはSPACチケットセンター<電054(202)3399>へ。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞