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牧之原~御前崎の藻場 「CO2吸収源」に静岡県内初認証 脱炭素社会目指す企業と取引へ 

 地元漁業関係者やNPOが保全に取り組んでいる牧之原市と御前崎市の沿岸域のカジメなどの藻場が、二酸化炭素(CO2)の吸収源として専門機関に認証されたことが24日までに分かった。海洋生態系が取り込む炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれ、脱炭素社会の実現に向けて近年国際的に注目が高まっている。

坂井平田港近くの潜堤に定着したカジメ藻場=2月上旬(南駿河湾漁協提供)
坂井平田港近くの潜堤に定着したカジメ藻場=2月上旬(南駿河湾漁協提供)
牧之原~御前埼の藻場
牧之原~御前埼の藻場
坂井平田港近くの潜堤に定着したカジメ藻場=2月上旬(南駿河湾漁協提供)
牧之原~御前埼の藻場

 牧之原市の坂井平田港から御前崎市の御前崎港にかけて分布するカジメ約17ヘクタールの吸収量49・1トンと、御前崎港西側の久々生(くびしょう)海岸のコアマモ約0・3ヘクタールの吸収量1トンを、国土交通省と連携するジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE、神奈川県)が「Jブルークレジット」として認証した。県内で認証されたのは2020年度に、Jブルークレジット制度が始まってから初めて。
 カジメ場は南駿河湾漁協などでつくる榛南地域磯焼け対策推進協議会、久々生海岸はNPO法人アース・コミュニケーション(御前崎市)と県が申請した。JBE関係者が10月下旬に現地を視察し、11月上旬の審査委員会を経て決定した。
 藻場が吸収したCO2量は今後、脱炭素社会を目指す企業などと取引できる。21年度は横浜港など国内3カ所の保全活動で創出したCO2吸収量計64・5トンがクレジット化され、延べ33の企業、法人が、排出したCO2を相殺する「カーボンオフセット」として購入した。1トン当たりの平均単価は7万2816円(税抜き)。藻場はCO2の吸収だけでなく、魚のすみかになったり、水を浄化したりする付加価値も考慮されるため、森林由来のクレジットより高いという。
保護機運の醸成に期待 保全取り組む関係者
 藻場の保全に取り組んできた関係者は二酸化炭素(CO2)の吸収源としての認証を喜び、さらなる保護の機運醸成に期待した。
 御前崎市、牧之原市、吉田町の2市1町に及ぶ海域はかつて国内最大の約8千ヘクタールの藻場が形成されていたが、平成以降急速に磯焼けが進行して消滅した。地元行政と漁協は1996年度に「榛南地域磯焼け対策推進協議会」を組織し、種苗の移植や回復状況の調査などに取り組んできた。同協議会の薮田国之代表(69)は「漁業のためにやってきたことが違う角度から評価されてうれしい。今後もできるだけ藻場を回復させる努力をしたい」と語った。
 NPO法人アース・コミュニケーションは久々生海岸に群生するコアマモを守ろうと、2019年からごみ拾いに励んでいる。川口真矢代表(37)は「(認証が)みんなで海を守ろうという機運につながれば」と願った。
 

 <メモ>藻場や干潟などが取り込む「ブルーカーボン」は森林が吸収する炭素「グリーンカーボン」の対語として、2009年に国連環境計画(UNEP)が命名した。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球全体では陸域を上回る量のCO2が海域で吸収されている。海に囲まれた日本はブルーカーボンの拡大が、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の達成に重要とされ、JBEの桑江朝比呂理事長(52)は「2050年にCNを実現するには(クレジット取引の)大規模ビジネス化が鍵。現在の沿岸レベルの取り組みを沖合、外洋に広げていく必要がある」と話す。

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