浜松市長選 自民と経済界思惑一致 中野氏擁立、対立解消

 浜松市の鈴木康友市長が4期目の任期満了(来年4月30日)での退任を表明し、来春の市長選は16年ぶりに新たなかじ取り役を決める選挙となる。14日には、前総務省都道府県税課長の中野祐介氏(52)=同市出身=が出馬意思を明示した。中野氏を擁立した自民党と市内経済界の一部は長く対立していたが、思うように政策や事業が進まない現状を打破したいとのそれぞれの思惑が一致し、連携の道を選んだ。

浜松市長選への立候補を表明する中野祐介氏(手前中央)。記者会見には自民と経済界の関係者も同席した=14日、浜松市役所
浜松市長選への立候補を表明する中野祐介氏(手前中央)。記者会見には自民と経済界の関係者も同席した=14日、浜松市役所


水面下で接触 
 8月のお盆明け、自民の城内実(衆院静岡7区)、塩谷立(同比例東海)両氏が都内で中野氏と会談を持った。地方行政に精通し、国とのパイプ役も務められる人材はいるのか-。地元の会合では、候補者を数人に絞り込んだ段階。中野氏は本命の1人だった。
 感触を探る目的だったこの日、中野氏から前向きとも取れる反応を得た。だが、2023年度税制改正に携わる要職とあってハードルは高い。擁立実現に向け、経済界と環境整備を急いだ。
 間もなく、鈴木修スズキ相談役、大須賀正孝ハマキョウレックス会長も浜松で中野氏と顔を合わせた。環境の整備には経済界全体のバックアップが不可欠。影響力を持つ2人が折を見て中野氏と面会を重ね、距離感を縮めていった。

 目指すは市長与党
 自民、経済界の対立は、経済界が推す鈴木市長が、自民が支援した当時の現職を破って初当選した07年にさかのぼる。就任後、将来負担の軽減を掲げて行財政改革を断行する鈴木市長に対し、市議会で多数を占めながら「市長野党」が続く自民は、現役世代への投資を抑制する市政運営に不満を募らせた。
 自民のベテラン市議は「与党にならなければ意味がない。市民に必要なところに投資する政策を実現したい」と切実だ。

 ねじれ解消狙う
 一方、経済界も市議会との「ねじれ」解消を求めていた。引き合いに出すのは、合意まで約10年もの年月を要した行政区再編。川勝平太知事と県議会自民党との対立によって思うように進まない県営野球場整備計画もあった。経済人の1人は「自治体運営が大変な時代。首長と議会が必要以上に争うことは市民にとってマイナス」と振り返る。
 経済界は行政区再編を巡り、自民市議とのパイプづくりを重視した。将来を見据え、関係修復に動いたとの見方もある。自民と是々非々の立場だった鈴木相談役は早くから、信頼する野党議員に「次の市長選は自民とやる」と明言していた。

 支援の広がりは
 今後、自民や経済界は市議会他会派や他党に中野氏支援を求めていく。市議会の創造浜松、市民クラブ、公明党の3会派は「要請がきた時に考える。こちらから(応援すると)言う立場ではない」と冷静だ。共産党は対抗馬擁立を検討する。
 中野氏の選対本部長を務める自民の柳川樹一郎市議は「市内政財界が幅広く支援するオール浜松の体制を整えたい」と市内融和を目指すが、足元の党内には不安もくすぶる。ある市議はこの十数年を振り返り、「経済界の思い通りに進めば、再び主導権を握られてしまうのでは」と漏らす。

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