台風被災の清水支援「自分にできる形で」 静岡県東部の子育て女性ら 弁当や菓子無料配布

 9月の台風15号で浸水被害を受けた静岡市清水区の住民を支援しようと、静岡県東部の女性ボランティアが、現地で弁当やお菓子の無料配布を続けている。協力者には子育て世代も多く、「自分にできる形で役立ちたい」と力を持ち寄る。

菓子を配布する地域を確認する高良綾乃さん(右から2人目)=10月下旬、静岡市清水区石川新町
菓子を配布する地域を確認する高良綾乃さん(右から2人目)=10月下旬、静岡市清水区石川新町
浸水被害を受けた住民に弁当を手渡す内野浩恵さん(左)と寿守周子さん(中央)=11月上旬、静岡市清水区鳥坂
浸水被害を受けた住民に弁当を手渡す内野浩恵さん(左)と寿守周子さん(中央)=11月上旬、静岡市清水区鳥坂
菓子を配布する地域を確認する高良綾乃さん(右から2人目)=10月下旬、静岡市清水区石川新町
浸水被害を受けた住民に弁当を手渡す内野浩恵さん(左)と寿守周子さん(中央)=11月上旬、静岡市清水区鳥坂

 富士市で夫と中華料理店を営む内野浩恵さん(46)は、発災3日後の9月27日から、仲間とともに店の厨房(ちゅうぼう)で作った弁当を被害の大きかった鳥坂、押切の両地区で配布している。
 配布数は一度に調理可能な40個程度。当初は連日、家の片付けをしている住民に声を掛けて手渡した。現在は週2回程度、親しくなった人を訪ね、新たな届け先も開拓する。活動は17回を数えた。
 店の大釜で飯を炊き、協力を買って出た料理好きの隣人寿守周子さん(64)、近所でフランス料理店を開く田嶋みゆりさん(52)が家庭料理を持ち寄る。費用は1回4千円。主にSNSでつながった協力者からの寄付金でまかなう。
 両地区では被災から約2カ月が経過した今も、多くの家で床板がはがされたまま、生活が元に戻らない。家族4人で住む自宅が浸水した女性(44)は「家の修理で台所も使えず、食事は悩みの種」と素朴な弁当にほっとした表情を見せた。
 10月には活動を通じてつながった仲間の仲介で、ボランティア団体が寝場所のない高齢者に段ボールベッドを届けた。内野さんは「お弁当は一つのきっかけ。困っている人が埋もれてしまわないよう、今後も配布を続けたい」と話す。
 ふじのくに防災士の高良綾乃さん(48)=三島市=は内野さんの活動に賛同し、10月下旬から「おやつ配達ボランティア」を計6回、押切地区などで行った。SNSでの呼びかけで集まった菓子やジュースなどを各回、20~40世帯に配った。配達には毎回、県東部の子育て世代など数人も協力した。
 「ボランティアセンターなどに登録して活動することは時間的に難しいが、被災者のために何かしたいという子育て世代は少なくない」と高良さんは指摘する。その上で、「今後、そういった人たちの力を機動的に生かせるプラットフォーム作りにも取り組みたい」と抱負を語った。
 (社会部・西條朋子、大滝麻衣)

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