震災追悼活動一区切り 常葉大生キャンドルナイト実行委、活動休止

 東日本大震災の犠牲者追悼や復興を願い、浜松市中区のアクト通りで毎年実施している行事「3・11復光キャンドルナイト」について、常葉大浜松(同市北区)の学生らでつくる実行委員会が17日までに、活動の休止を決めた。新型コロナウイルス禍に加え、震災から10年以上が経過して関係者間の気持ちに温度差が生じ、運営を引き継ぐことが困難になった。

今年3月に開かれた「3・11復光キャンドルナイト」。ろうそくによってメッセージが浮かぶ=3月11日、浜松市中区のアクト通り
今年3月に開かれた「3・11復光キャンドルナイト」。ろうそくによってメッセージが浮かぶ=3月11日、浜松市中区のアクト通り
パンフレットを手にキャンドルナイトの歩みを振り返る伊藤萌さん=11月上旬、浜松市内
パンフレットを手にキャンドルナイトの歩みを振り返る伊藤萌さん=11月上旬、浜松市内
今年3月に開かれた「3・11復光キャンドルナイト」。ろうそくによってメッセージが浮かぶ=3月11日、浜松市中区のアクト通り
パンフレットを手にキャンドルナイトの歩みを振り返る伊藤萌さん=11月上旬、浜松市内

 毎年3月11日夕、アクト通りに数千本のろうそくを立て、「3・11」「結」といった文字を表示している。コロナ禍で中止した2020年を除き、震災翌年から継続してきた。市内の学生でつくる実行委員会が数カ月間をかけて準備し、当日は地域住民を含むボランティア約50人がろうそくを並べる。
 地域の子どもも参加する風物詩的な行事だが、コロナ禍で運営に厳しさが増した。実行委員やボランティアの担い手を輩出してきた常葉大浜松のボランティア団体は活動制限を受け、100人前後だったメンバーが半数以下に減った。準備中は会議室で連日顔を合わせるため、「集まって大丈夫なのか」と敬遠する学生もいるという。
 行事は被災地でボランティアをした学生が「何かしなくては」との使命感から企画したのが始まり。初回から携わる同大健康プロデュース学部の木村佐枝子教授は「コロナ禍で学生の被災地への訪問機会が減った。本来の目的を見失うと、イベント化する。キャンドルナイトは学生主体で10年続き、十分に役割を果たした」と話す。
 最後の実行委員長となった同学部4年の伊藤萌さん(21)は中学時代に市民協働センターの交流事業で宮城県気仙沼市を訪れ、被災者から「忘れられることが一番つらい」と伝えられたのを鮮明に覚えている。「1年のうち一日でも被災地や防災について考えてほしいので、何とか続けたかった。興味を持って再開する後輩が現れてほしい」と願う。

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