業績下振れ懸念強まる 23年3月期通期予想 10社が純損益下方修正
世界的な原材料・エネルギー価格の高騰や急速な円安進行により、県内上場企業で下期業績の下振れ懸念を強めている。静岡新聞社の集計では、32社のうち10社が2023年3月期通期業績予想の純損益を下方修正した。業績悪化を見込む企業は価格転嫁を進めるなどして利益率の改善を目指すが、先行き不透明な経済情勢に頭を悩ませる。
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通期業績予想で純損益を下方修正したのは、製造業はエンシュウ、日本プラスト、焼津水産化学工業など6社。非製造業はスクロール、マキヤなど4社。いずれも仕入れコストの上昇や円安の影響で利益が圧縮されると見通す。桜井製作所、はごろもフーズ、エンチョーは最終赤字の見込み。対ドルの通期想定為替レートを修正する動きも相次いでいる。巴川製紙所は1ドル=125円から140円に変更。7月に続く今年2度目の修正で、期初(112円)に比べて円安方向へ28円見直した。小糸製作所も1ドル=126円から135円に修正した。
半年後の経済情勢を悲観的に捉える向きは多く、各社は経営安定化に向け、さらなる価格転嫁や原材料調達先の多様化、付加価値の高い商品開発、経費削減などの対応を急ぐ。ただ抜本的な改善は難しく、「もはや打つ手がない」(小売業)との本音も漏れる。
一方、製造業で増収増益を見込む企業はスズキ、ASTI、村上開明堂、芝浦機械などグローバル展開している輸送機器・工作機械メーカーが目立つ。半導体や部品不足が長引くものの、国内外の好調な需要を背景に、原燃料価格の高騰で膨らんだコストを価格転嫁や円安差益で吸収している。