ブレーキ不能 同業者「同じ経験」 2速が基本、技術不足指摘も 小山バス横転事故1カ月

 小山町の県道(通称ふじあざみライン)で観光バスが横転し1人が死亡、27人が重軽傷を負った事故は13日、発生から1カ月を迎える。現場は富士山5合目と麓を結ぶ道路で、急勾配な上に険しいカーブが続く。県警は事故原因についてフットブレーキを使いすぎて利きが悪くなる「フェード現象」が考えられると説明。過去に同じ現象を経験した地元ドライバーもいて、運送事業者らは事故を受けて、安全対策を強化している。

ふじあざみラインは急勾配で険しいカーブが続く=11日午後、小山町須走(画像の一部を加工しています)
ふじあざみラインは急勾配で険しいカーブが続く=11日午後、小山町須走(画像の一部を加工しています)

 ふじあざみラインは全長約12キロで高低差が1160メートルに及ぶ「全国的に見ても珍しい道路」(県内のバス会社)。タクシー運転手歴40年の男性はかつてマイクロバスで走行中、フットブレーキが利かなくなったと振り返る。他のブレーキを駆使して事なきを得たが、以後は「すぐスピードが出てしまう。ゆっくり走らなければ」と肝に銘じている。
 関係者によると、事故を起こしたバスの運転手は5合目から麓に向けて出発後の一定区間、中高速のギアで走行したとされる。地元のバスドライバーは「下る時は2速が基本」と指摘する。エンジンブレーキと排気ブレーキを効果的に使い、フットブレーキはできるだけ使わずに走行するのが理想だという。
 初めて現場を走行した運転手の経験不足を指摘する声もある。夏期に5合目までの路線バスを運行するバス会社は「ふじあざみライン」は数ある山岳ルートの中でも特に高い運転技術が求められるとして、研修で少なくとも3往復してから乗務に就かせるという。
 御殿場観光バス(御殿場市)も「運転に最も気を使う道」と捉える。事故後、運転手がそれぞれの運転操作を紹介し合い最適な方法を探る意見交換を行った。バスの車種によって異なるブレーキの種類や操作方法を再確認する目的もあるという。担当者は「より一層意識を高めて安全運行に努める」と話す。

 <メモ>事故は10月13日午前11時50分ごろ発生した。富士山須走口5合目から下っていたバスは右カーブを曲がりきれず、道路左側ののり面に乗り上げて横転した。乗客乗員36人のうち乗客の女性1人が死亡、運転手と添乗員を含む27人が重軽傷を負った。県警は運転手の男性を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕し、同法違反(過失致死)の疑いで送検した。静岡地検沼津支部は男性を処分保留で釈放し、在宅で捜査を続けている。男性は容疑を認めている。

 

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