スズキ 9月中間増収増益 インド販売増、円安効果
スズキが8日発表した2022年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比32・5%増の2兆2175億円で過去最高だった。インドでの販売増や円安に伴う増収効果を背景に、各利益も増益を確保した。半導体不足や原材料高騰の影響下での増収増益決算。鈴木俊宏社長はオンラインでの記者会見で「生産組み替えや設計変更、原材料高に対応する各市場の値上げなど、達成には想像以上の努力があった」と総括した。

売上高に対し、1857億円の円安の追い風があった。営業利益は65・8%増の1643億円。原材料高影響など590億円の減益要因は為替のプラス効果で全てを補えなかったが、販売台数増や価格改善の取り組み効果が全体を押し上げた。経常利益は29・7%増の1923億円、純利益は14・5%増の1151億円。
四輪事業の売上高は1兆271億円と38・8%伸びた。世界販売は16・6%増の146万台。前年ロックダウンなどの影響を受けたインドは34・4%増の81万台と大きく伸長。戦略的に導入するSUV(多目的スポーツ車)やCNG(圧縮天然ガス)車も販売増に寄与した。
二輪事業は45・8%増の896億円、マリン事業は44・1%増の345億円だった。
上方修正した通期業績予想の売上高は初の4兆円台で、各利益の大幅増益も見据える一方、鈴木社長は「努力目標を入れた数字。下期も問題が解決したわけではなく、気を緩められない」と警戒感を示した。
バックオーダー(受注残)は日本で21万台、インドで40万台を超え、半導体不足の影響も続いているため、解消の見通しは立っていない。原材料高に対する取引先のコストアップ受け入れなどにも対応した上で、「工夫しながら一台でも多く生産する」と強調した。